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時代はきしむ 言葉はその羽根を伸ばしてゆく

ジャーナリストたちに背を向ける音楽家もいる

でもどうだろう?
そこに対話(ダイアローグ)という余地は残されていないだろうか
会話という行為から何かを実らせていくことは出来ないだろうか

佐野元春の場合を振り返ってみる
彼は辛抱強く ジャーナリストたちと言葉を交わしてきた
取材に関する積極的な態度は
別にプロモーションのためだけではない
佐野はむしろ切迫した気持ちで
自分の音楽を解って欲しかったんだな と思う

ずっと初期から彼は自分のLPレコードに音楽評論を書かせてきた
どうか思い起こして欲しい
ザ・ハートランドとの頂点を克明に記録したライヴ盤に寄せられていた
ライナーノーツのことを
あるいは『The Circle』や『Sweet 16』の解説のことを

言葉を扱う表現者が 人の言葉に耳を傾ける
素敵じゃないか?
結果 佐野は日本のロック ジャーナリズムを一歩一歩押し上げていく
それは”俺様”的な地平からは見えて来ない柔らかな水平線だ

自分自身のことを振り返ってみても
同じ母国語を使う音楽家とのやりとりは気安い反面 キツいとも感じる
ぼくらは素晴らしいとか感動したということを
別の表現で伝えなければいけないから

音楽評論は体裁のいいレコメンド シートではない
フリーペーパーに書かれた浮つきでもない
『This』などで試みられてきた佐野の言葉への関心やメディアへの模索は
言うまでもないだろう

だから ぼくも言葉を積み重ねていく

乖離や誤認を恐れずに
言葉の強さに怯えながら 言葉の弱さに躓きながら


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「ぼくのフィロソフィーは もしそこにいい音楽があるのなら いい紹介者もいなくて
は というものです 音楽家が堕落したら批評家やDJも堕落する 批評家やDJが
堕落したら 音楽家も堕落するでしょう ぼくはそんな風に思っています」

(佐野元春:拙者による取材時に)

by obinborn | 2010-11-08 00:13 | rock'n roll | Comments(0)  

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