苦みや失意あるいは視野があるクリスマス・ソングについて
お金がない人も ありあまっている人も
教えている人も 教えられている人も
平和な街も 闘っている街も
メリー クリスマス
(佐野元春「クリスマス タイム イン ブルー」)
”個人的なこと”に執着していては けっして見えてこないものを
佐野はすくっと拾い上げ 鮮やかなスケイプのなかへと溶け込ませていく
クリスマスのときも”ブルー”(憂鬱)であるという表題が
世界に対する彼の想像力を端的に物語っている
こちらはポーグス”fairytale of New York"(87年)の12インチから
ゲイトフォールド ジャケットを開けると歌詞にちなんでニューヨークの
こんな写真が収められていた
若い頃のカップルの無邪気なクリスマスを回想するのが一番の歌詞
二番ではもはや老いてしまい 互いをやりこめる夫婦の樣が 変わるテ
ンポとともに対比され 曲という時間のなかで過去と現在が交錯していく
「あなたはハンサムだったわ!」
「おまえだって可愛かったのに!」
という夫婦喧嘩を実際の男女ヴォーカルでコミカルに描き出すのだが
「〜だった」 「〜だったのに」 という過去形がほろ苦く迫る
歳月とともに”すれっからし”になってしまった夢あるいは失意が
この歌にきれいごとだけではないリアリティを与えている
またアイルランド出身のシェイン マガウワンがニューヨークをテーマとする
ことで 歌の主人公が移民としてこの街にやってきたことを仄めかすような
広がりを感じさせる
by obinborn | 2010-12-23 16:46 | rock'n roll | Comments(3)
今日はきっと、ブログでは元春のこの曲を選ぶんだろうなと思っていました(ヤッタ!
Cafe Bohemia 中で"Strange Days"につぐ好きな曲です。
皆で口ずさもうよって感じでゆっくりと流れるメロディは、きっとこれからも変わらないですよね。
Merry Christmas to Mr.OBIN !