3月10日〜音楽と距離

ボブ・マーリーのライヴを見たことがあるとぼくが言うと
熱心な若い音楽ファンほど驚くことが多い
ぼくも誇らしい記憶として話せればいいのだろうけれど
もう少し事情は複雑だ

きっと若いときのぼくがその存在の大きさを受け止め損ねたのだろうし
それ以上に彼の置かれた厳しい環境と 親に学費を出して貰いながら
学校に通い音楽を享受している自分との距離感は明白に過ぎた

かつて大貫妙子はそうした思考に関して 男はそれだからダメなんだ
といった旨を渋谷陽一による取材記事で答えていたが
女の人はもっと音そのものに向き合うのだろうか(ぼくには解らない)
いやそれとも性別の問題ではなく あくまで個人の受け止め方の違い
というか(あまり好きな言葉ではないが)温度差なのだろうか

忘れもしない79年4月 そんな屈折を抱えながら中野サンプラザの
二階席から熱狂する渦を眺めていたというのが正直なところだ
たまに熱狂から取り残されるライヴというのがあるけれども
今であれば その疎外感をある程度言葉に置き換えることも出来る

ただその日本公演から2年後の5月にはマーリーは死んでしまった
そんな歴然とした事実は 当時のぼくに奇妙な染みを残していったし
何よりも音楽について もう少し正確に言えば音楽が生まれてくる場所
について考えるきっかけを与えてくれた

たった36年に凝縮されたマーリーの生について
残された者たちは誰もが重い宿題のように考えている

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英アイランドの社主、クリス・ブラックウェルらによって編まれた75〜79年の
コンピレーション 『Legend』が正真正路のベスト盤ならこちらは”裏ベスト”
の風合いが強い 小さなものを愛でるような「who the cap fit」から確信に
満ちた「one drop」へと連なる流れに とてつもなく大きな思いが溢れ出す


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by obinborn | 2011-03-10 13:37 | one day i walk | Comments(0)  

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