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3月22日〜悪魔から逃れて

クリンク(芽瑠璃堂)から今月発売されたダニー・オキーフの99年作
『悪魔から逃れて』はぼくがライナーノーツを書かせていただいたのだが
執筆してから一ヶ月後に彼の「ウェル・ウェル・ウェル」をこうした現状のなかで
聞くことになるとはまさか思っていなかった

ぼくはそのライナーでこう記している

「ボブ・ディランが共作者として名を連ねた『ウェル・ウェル・ウェル』は話題
を呼び デヴィッド・リンドリーもカヴァーしたほどだが 環境汚染に対する悲し
みや人間の傲慢への警告が言葉となり音となり打ち寄せる樣は、、、」

福島第一の原発事故が当面の小康状態を迎えつつある現在 メディアは
早くも「がんばろう、日本!」の切り売りだ 復興に向かって心を合わせていく
のは勿論大切なことだが その一方で原発事故の事実を隠蔽しようとする
動きもすでに始まっていることをぼくら国民は注視していかなければならない

「ウェル・ウェル・ウェル」とは「いいんだ、いいんだ」くらいの意味だろうか?
それがぼくには政府がほとんど棒読みのように繰り返す「健康への影響は
当面ありません」なる見解と皮肉っぽく折り重なり合いながら聞こえてならない
のである

広島と長崎の原爆があった 九州では水俣の汚染もあった
それでも我々は学んでこなかった
スリーマイルやチェルノブイリもあった
それでも我々は学んでこなかった

文明という甘い汁を享受することで叡智を忘れ傲慢になっていたことを
誰もが自覚しなければ 今回の未曾有の事件を根本の部分で受け止める
ことにはなり得ない 

それでもどことなく漠然と未来は続いていくと思っていた者もいただろう
”自分たち”の世代だけはうまく逃げ切れると手前勝手な楽園を夢見ていた
者もいただろう

どんな時代であれ 思い上がりというのはそういうものだ
21世紀になってから最初の10年が過ぎたこの荒れ地で
そうした厚顔無知は思いがけない方向から早期修正を迫られることになった

かつて「ぼくと彼女と週末に」という浜田省吾の歌があった
そこでは若く無邪気なカップルが川辺で遊んでいるときに
死に絶えた魚が岸に打ち寄せられている光景を目にする場面が描かれていた

ぼくらはこれからそうした光景を何年後 何十年後と見ていくことになる
岸辺に打ち寄せられた魚たちの無惨な姿をずっと見届けていくことになる

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by obinborn | 2011-03-23 07:33 | one day i walk | Comments(0)  

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