1978年
ことがあるわけじゃなし、久雄は平野の下宿に泊めてもらうことに
した。それより、誰の許しを得るでもなく自由に外泊出来ることに
気付き、心が弾んだ。今日、本当に自分の一人暮らしは始まった
のだ。そろそろキャンディーズのコンサートも終わりが近付いてい
るらしい。球場内ではひときわ大きな歓声があがって、最後のシ
ングルとなった『微笑みがえし』が歌われていた。」
(奥田英朗「春本番1978.4.4」より抜粋 『東京物語』に所収)
78年の前半といえばぼくはそれまでのビートルズ一辺倒から抜け
出し いよいよ本格的に洋楽にのめり込み始めた頃だった
春にはスコーピオンズのライヴを中野サンプラザで体験し
夏には延期の果てにやっと実現したリトル・フィートの公演を同
じくサンプラザで観た インスト作品「day at the dog races」が始ま
るとステージの袖に引っ込んでしまったローウェル・ジョージの寂しそ
うな姿が今でも忘れられない
あれから32年も経ってしまったのが自分でも信じられない
ローウェルもリッチ・ヘイワードもそしてスーちゃんも
この世にはもういない
by obinborn | 2011-04-25 19:13 | 文学 | Comments(4)
時が過ぎるのが本当に早いですね。歳がいも無く中村まりのライブに行ったりしていますが、今は好きな事は実行しようと決めています。
所で、'78年頃はJazzからロックへ舞い戻った時期で、リトル・フィートの「セイリング・シューズ」の中古盤を買ったのがきっかけでした。
次回のロンサムストリングスとの共演ライヴも今から楽しみです
『セイリン・シューズ』の頃のフィートはまだまだ朴訥な演奏で
あの時期の彼らが一番好きだったという気持ちもありますが
78年の来日公演は今も鮮明に覚えているくらい(オープニング
は「skin it back」だった!)感動的であり その後の私の音楽嗜好
を決定的なものにしました ちなみに99年春に吉祥寺のパインズ
で観たポール・ヴァレル&フレッド・タケットのアコースティック・ラ
イヴも味わいがありました
東京に出て来た男の子がその後どういう風に成長(もしくは挫折)
していったかに読者は自身を重ねることでしょう
そっかー、二郎さんは中1生だったのですね ぼくが観たリトル・フィ
−トはちょうど同時期に発売されたライヴ・アルバム『waiting for
colombus』からタワー・オブ・パワーのホーンズを抜いたような
内容と考えていただければ解りやすいかもです。この盤の現行
デラックス・エディション盤と『タイム・ラヴズ・ア・ヒーロー』は
拙者がライナーを書かせていただきました
そうそう、奥田英朗さんとぼくは一歳違いなのでした