Ry Cooder/Boomer's Story(1972)

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「汽笛が鳴っているんだ」というリリックの瞬間にタメの効いたスライド・バーを
ここぞとばかりに滑らせるライ

そんなタイトル曲「boomer's story」はトレイン・ソングの語り部のような伝承曲
だ 2月に中村まりと話していたとき 「私もハーモニカを吹くとき トレイン・
ソングのことを意識します」と彼女は言っていたっけ

地元バーバンクのアミーゴ・スタジオだけでは飽き足らず メンフィスのアーデント
やアラバマのマスル・ショールズにまで足を伸ばした3作め ディキンソンとのコン
ビネイションは更に強化され ダン・ペンとの出会いがあり 何といっても
スリーピー・ジョンの参加があった 

そんな足どりが南部への思いを告げるようなライのサード・アルバムだ
前作での女声コーラスが消え ダン・ペンとディキンソンによる男臭いハーモニー
が冒頭の表題曲と終曲「おはよう、鉄道員さん」で哀愁味を加えている

インスト曲「マリア・エリーナ」は今思えば『パリ、テキサス』に挿入された
「cancion mixteca」へと連なる弦アンサンブルへの前哨戦だったのかもしれ
ない 映像的なサウンドスケープの中心にいるのはライのギターとディキンソン
のピアノの対話だ

こうしたギターとピアノとの対話はサザーン・ソウルの「ダーク・エンド・オブ・
ザ・ストリート」(やはりインスト)でも ランディ・ニューマンを迎えた「旗の下
に集まろう」でもじっくり吟味出来る

白眉はやはりスリーピー・ジョンをメインに据えた「ケネディ大統領」だろう
彼の相方であるヤンク・レイチェルを模したライのマンドリンが素晴らしい

その「ケネディ」セッションの熱気を鎮めるかのようにアルバムは伝承歌
「おはよう、鉄道員さん」でエンド・ロールとなる

「おはよう、鉄道員さん、次の汽車は9時16分かい? 2時44分かい?
それとも5時25分まえなのかな?」
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by obinborn | 2011-05-19 02:34 | one day i walk | Comments(2)  

Commented by レシーブ二郎 at 2011-05-19 06:39 x
obinさん、おはようございます。つづけざまにライの初期アルバムの名文解説を読ませていただいて幸せです。「Maria Elena」、ディッキンソンのピアノが入ってきてからも、ライはいいギターを弾いていますね。おっしゃるとおり対話ですな。ロジャー・ホーキンスは「Dark End of The Street」で叩いているのかな? 土ぼこりのにおいが漂ってきそうに感じます。
Commented by obinborn at 2011-05-19 11:44
二郎さん、恐縮です
曲ごとのパーソネルが明記されていない場合のプレイヤー探しは
大変ですね そもそも考えられるパターンは
1 きちんとした記録保持者がいない
2 そのくらいおぬし聞き分けられんでどうする?
3 案外当人たちがそうした意識でセッション/音楽を捉えていない
4 単なるずぼら
などなどが考えられますが(笑)、逆に当たった時の喜びは大きい
ですね なおビル・カーチェンはぼくも好きなギタリストであり
impossible birdツアーの際、クアトロの会場にいた彼に声を掛け
コマンダー・コディとムーンライターズのLPを差し出すと 嬉しそう
にサインをしてくれました

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