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ブルーズとともにまた再びスタック(立往生)してしまった

人が集まるところに金が集まり 金が集まるからさらに人が流れ込む
これが大都市の法則だとすれば 地方のそれとは真逆の流れだろう

原発事故が長期化するなかで 福島を離れる動きが加速している

ある者は放射能を心配し県外に引っ越す 子供を心配した親がせめて
妻子を親類のいる他県に移動させる あるいは福島での事業再開を諦める
工場や商店、旅館なども増えているらしい

農家の主は将来を悲観して自殺した
酪農家の二代目も 殺されていく牛たちよりも早く自殺した

こうした二次災害の只中のなかで 「がんばれ! 日本」の掛け声は
いかにも虚ろに響く

たとえばあなたは東京にいて日々の仕事に疲れている
あなたは気分転換にたまには旅行をしようと思う
たとえばあなたは東京に暮らしていてもう満員電車なんてこりごりだと思う
あなたはそうして少ないヴァケーションを僅かに夢見る

そういう時 あなたは今 福島の温泉に行こうと思うだろうか?

風評被害や複合災害とは何も外側にあるものではない あなたや私の心を占
めているものに他ならないのである

ところで『レコード・コレクターズ』誌の7月号に掲載されたジョージ・カックルさん
の『歌詞遠望』を読み 驚かされた

クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルの「lodi」を ぼくは
ワン・ナイト・スタンドを過ごすミュージシャンの悲哀を描いた歌だと
何となく考えていたのだが 実際にはlodiというカリフォルニアの寂れた
街のことと どうやら二重映しとなっているらしい

かつては鉄道が繁栄し 人々の行き来も盛んだったlodiという
街は ゴールド・ラッシュの遙か昔に人々が山を掘るためにサンフランシスコ
から北上した地点にあり いい畑もあった

またこの土地には中国人や日本人が多く住んでいたという
彼らは第二次世界大戦の始まりとともにこの土地を追われていった

誰もが自分の人生にスタック(立往生)してしまうときがある

もうこれ以上前には進めないという諦観は 立ち止まり振り返ったこと
のない人にはけっして解らない気持ちだ

今日の新聞は福島の人たちの心情をこう伝えている

「普通に見えるかもしれないけれど、心の中は普通ではない」と

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by obinborn | 2011-06-18 01:10 | one day i walk | Comments(0)  

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