This Old Life
わけでね ウォルターはスリックなシティ・ブルーズ サニー・ボーイはもっと
カントリー色が濃いんだよ」
ジェイムズ・コットンがこう回想するように リトル・ウォルターのハープが
聞いていて単純に「カッコイイなあ〜」と思わせるのに対して サニー・ボーイ
のそれは より素朴でより肉声に近いような響きがある
1955年から64年に亘るチェス/チェッカー時代の4枚組ボックスを無性
に聞きたくなり 久し振りに”一気聴き”した
武勇伝がそのままその人を伝えるブルーズの典型が サニー・ボーイ2世だと
思う 南部のアーカンソーから北部のシカゴまでを往来するその旅路は戦後
ブルーズそのものを照らし出すかのようだ ロバート・ジュニア・ロックウッドや
ルーサー・タッカーの繊細なギターが鳴っているのもチェス時代の特徴だろう
まるで啖呵を切るようなそのヴォーカルとハープを聞いていて感動する反面
ぼくが同時に思ったのは 21世紀にはもうこういう濃密な音楽は生まれないの
だろうなということだった
それはオリジネイターとフォロワーとの違いということは勿論 その人が生きて
きた時代背景がまるで異なるということに理由があるのではないだろうか
書き割り的に言ってしまえば ブルーズ音楽にはパソコンもi-padもスマート・
フォンもまるで似合わない つまりそういうことなのだ
ぼくなんかは飲み席で相手が携帯を持ち出すだけで何だかイヤ〜な気持ち
になってしまうのだが そうした感覚もいつか時代とともに薄れていくのだろう
炎天下 そんなことを考えながら 喜怒哀楽がそのまま人格となったような
サニー・ボーイのブルーズを聞いた
by obinborn | 2011-07-12 17:47 | one day i walk | Comments(0)