メンフィスへの道

ウェクスラー/ダウドのプロダクションでもう一枚どうしても忘れ難いのが
ダスティ・スプリングフィールドの『in memphis』(69年)だろう

ルルやシェールのマスル詣とは異なり こちらはメンフィス
それもスタックスではなくレジー・ヤング(g)らが根城とするアメリカン・
スタジオであることが興味深い

かつてアリーサやピケットを南部録音に導いたウェクスラーはダスティを
まえに どんな青写真を描いていたのだろうか

原文のライナーにも書かれているように 英国人のポピュラー歌手である
ダスティが遙か彼方のメンフィスで録音することには戸惑いもあったらしいが
そんな不安もセッションをするうちに杞憂に終わり 結果素晴らしいアルバムが
生まれた

それまでスタジオに行き 完成されたオケに歌を被せるだけだったダスティに
とって デモ録音を聞き その場でヘッド・アレンジしながら演奏を練ってい
くアメリカン・スタジオの面々を目の当たりにすることは新鮮な驚きであったはず

そんな初々しいまでの息遣いがこのアルバムには漲っている

曲はマン=ウェルズ、ゴフィン=キング、デビッド=バカラックといったビルド系
のチームから ランディ・ニューマンが2曲 そして南部組としてはヒントン=フリッツ
「ベッドで朝食を breakfast in bed」が取り上げられ 彼らの出世作となった

ゴフィン=キングではミディアム・スローの「no easy way down」が秀逸
同曲に於けるレジー・ヤングのオブリの美しさといったら、、、
キング自身のヴァージョンは彼女のファースト『writer』(70年)に収録されている
が こうしたR&Bフィールはキング的な作風の骨組みとなるところでもある

それはともかく チャレンジングな精神が南部録音というロケーションで結晶した
このアルバムには 永遠という言葉がよく似合う

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現行CDには未発表トラックが大幅に加えられているが なかでもデヴィッド・ゲイツ
作の「make it with you」は出色  レジー・ヤングは”弾かないギタリスト”の鑑の
如く 左右のトラックに分けて抑制の効いたオブリを繰り出していく
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by obinborn | 2011-07-23 17:06 | one day i walk | Comments(0)  

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