8月5日

「あれは1966年の気持ちいい南部の日だった。オーティス・レディングと私は使い古された
民間飛行機に乗った。空港はまだ冷房を効かせてなかったけれど足の裏は涼しく、どうやら
単純で気ままな空調といったところだった。そう、私たちはメンフィスからマスル・ショールズ
まで旅立ったのだ。リック・ホールがプロデュースしたという新しいシンガーを聴きにいくため
の旅に」

パーシー・スレッジの74年作にはフィル・ウォルデンによるそんな序文が寄せられている

言うまでもなくウォルデンはオーティスのマネジャーであった男であり のちにカプリコーン・
レーベルを設立し オールマン・ブラザーズを世に送り出すなどサザーン・ロックに大きく寄与
した人物だ 66年にオーティスとともにパーシーの歌を聞いてから約8年後 ウォルデンは
パーシーの復活作『i'll be your everything』(capricorn 74年)のために尽力する

プロデュースにはフェイムの重鎮クィン・アイヴィを立て マスル・ショールズ・サウンド・
スタジオのAチーム(フッド/ホウキンズ/バケット/ジョンソン/カー)が演奏で応えた
エンジニアのジェリー・マスターズらがそれらの音を丁寧に拾い上げた

もともとスレッジの発声/ヴォーカルは迫力で聞き手を圧倒するものではない
むしろじわじわと手元を温めていくような歌唱だ
そんな彼にはミディアム・スローの佳曲がよく映えるのではないか
こうした思いにジョージー・ソウルやラリー・マレイそしてマーク・ジェイムズらの作家陣も
貢献した

ピート・カーのファンにとっても これは忘れがたい特別なアルバムではないだろうか

というのもエディ・ヒントンが参加していないぶん カーが全編に亘ってあの光沢のある
リックを一人で随所に繰り出していくのだから それも派手なソロ・パートが一切ない
だけに 何気ないオブリがむしろ果てしなく染み込んでいく
また装飾的なホーンズが一切使われていないこともかえって
スレッジの歌とカーのギターを鮮やかに際立せていくようかのようだ

先日触れたボズ『my time』でも素晴らしいギターを弾いたカーだが
その延長にすんなりと浮かび上がってくるような南部ならではの甘美な響きが
これだ

フィル・ウォルデンのライナー・ノーツはこう締めくくられている

「おかえり(welcome back)、パーシー , ぼくは誇らしい気持ちさ。でも、もっと素晴らし
いのは、きみが故郷に帰ってきたこと(welcome home)なんだ!」

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by obinborn | 2011-08-05 22:09 | one day i walk | Comments(0)  

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