12月3日その1

エリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッドを日本武道館にて

正直スティーヴ・ガッドのスクエアなドラムスで2時間を通されるのは
きついかなあ〜と思いながら臨んだライヴだった 歌にしてもギターに
しても良くも悪くもケレン味があるエリックという先入観は強かったし
実際の演奏を取ってみても 彼の直線的なリズムに共感を覚えることは
残念なことにあまりなかった

それでもスティーヴ・ウィンウッドという希有のパートナーを得ながら
不思議な化学反応をしていくエリックがそこにいたこともまた事実
ギターのソロ・パートにしてもテンポをスローの8へと戻した「closs
roads」に象徴されたように 音数で固め打ちするのではなく ストラト
キャスターならではのハーフ・トーンを活かした余裕を持ったフレージ
ングが際立つ オープニングに選ばれたブラインド・フェイスの「Had
To Cry Today」でウィンウッドがハイ・ポジションのソロを弾く場合に
エリックがきちんとロウの部分でウネウネとしたラインを編み出したこ
となどはその最たる成果だろう 白眉はヘンドリクスの「Voodoo Chile」
だろうか ウインウッドのハモンドがロング・トーンを奏でると エリッ
クは まるで水を得た魚のようなソロを惜しみなく絞り出す その一滴の
豊かさにエリックが辿ってきた道のりを思った

それにしてもウィンウッドの身のこなしのしなやかなこと!
まるでなだらかな丘陵を描いていくようなグルーヴ かつてと何ら変わ
ることない張りのあるヴォーカル そしてハモンド・オルガンならでは
のアーシーな響き この人の音楽を聞いてきて良かったと思える瞬間が
が幾度も幾度も訪れた

音楽的な迷路を経てきたことに関してはエリックだけを責めるわけにはいか
ないだろう ウィンウッドでさえ80年代にはずいぶんつまらない
”グラミー・アワード”アルバムを作ったのだから

燃え尽きるような「Voodo Chile」が終わると あの夢幻的な「Dear Mr. Fantasy」
がじわりじわりと奏でられていく ブルーズというキーワードで再会した二人の
道のりを照らし出すかのようなその演奏を聞けただけでも ぼくは幸せな気持ち
になれた

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by obinborn | 2011-12-04 11:39 | one day i walk | Comments(4)  

Commented by ちーくん at 2011-12-04 12:08 x
大変ご無沙汰しております。

私は横浜で観てきました。ガッドのドラムに関しては小尾さんのご意見ごもっともで、実際に聴いてもそうだったと思います。役割としての部分があるにせよ、ライヴ感に乏しくスリルが無いと思いました。
ベースがウィリーなんだからドラムも思い切って「彼」を連れてくれば良かったのにと思いましたね。生で聴きたいコンビです。
ECについては印象が大きく変わるような何かは余りなかったかと。今は本当にやりたいこと(あるいはやり残したこと)をやる時期なのだろうと想像します。SWはとにかく歌が上手いし、声そのものが素晴らしい。そしてハモンドらしいハモンドの音!これだっ、と思いましたね。
Commented by obinborn at 2011-12-04 13:03
ちーくん、お久し振りです!
ベーシックな部分ではエリックのバンドにウインウッドが加わるという
形だったので そこら辺の足りないものを自分なりに考えてみました
たとえばビートをどこまでも横に広げることが出来るパーカッション奏者
がいればいいのにとか そんなことです あるいは「彼」とか(笑)
そんな不満があったにせよ 互いの共通分母を見いだしていったこの共演
は素晴らしいものでした 「プレゼンス・オブ・ザ・ロード」をスティー
ヴィーが歌い始めた時 思わず鳥肌が立ちました あるいは「グラッド」
のピアノのシンコペーションはどうでしょう 音のない隙間にこそ音が宿るとでも言いたげなその語彙の豊かさのこと
彼の音楽を聞いてきて本当に良かったと思える一夜でした

Commented by ちーくん at 2011-12-04 13:34 x
小尾さん
度々おじゃまいたします。今回のツアー、私も楽しみましたが、同時に複雑な思いもありました。SWがこれだけバリバリに現役でいるのに、長年観たかったトラフィックは他のメンバーがいなくなってしまった。
何があるかは知らないが、デイヴ・メイスンとの共演は難しそうだし。
ECにしてもD・トラックスを加えてドミノスの再現的なことはあったけど、私にとってラストピースと思えるB・ウィットロックとの共演は無いし。優しくも荒々しさのあるバンドサウンドを聴いてみたいなどと贅沢なことを思ったのです。ECがどんなに大音響で荒々しい?フレーズを繰り出しても、それが破綻の無い整った音に聞こえてしまう。屈折しすぎでしょうか。
Commented by obinborn at 2011-12-04 14:00
故人となってしまったジム・キャパルディの(たぶん「other shore」はジムへと捧げた歌だと思う)不在はとくに残念です あのへたっぴいのドラ
ムスやクリス・ウッドの情けないサキソフォンが実はトラフィックの輪郭
だったことに感じ入ることがしばしあります ”遅弾き”の達人である
メイソンを含めて全然優等生の音楽なんかじゃない そんなところが好き
でした バンドは上手すぎても下手でも駄目なんだ ぼくも一人の聞き手
としてそう思います 何故か無性にプロコム・ハルムを聞きたくなりまし

B・J・ウィルソンのような味のあるドラマーが本当に少なくなってしまい
ましたね

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