人気ブログランキング | 話題のタグを見る

1月28日

ソロとしては今年初めてのライヴとなる中村まりを、下北沢のleteにて。

1月28日_e0199046_2325342.jpg


昨年はロンサム・ストリングスとのツアーが忙しかった中村だが、こうして
ソロのワンマンをじっくりと味わうのは久し振りだ。
しかも会場は彼女のホームとも言うべきlete。狭い空間故に親密感溢れるこの
場所での弾き語りである。ぼくは駆け付けずにはいられなかった。
意外かもしれないが、中村がleteで演奏するのは実に昨年2月以来のこと。

過去2枚のアルバムからのオリジナル・ソングスにポール・マッカートニー
「Mother Natures Son」やロン・セクスミス「God Loves Everyone」を
加え、ブルーズの古典からはビッグ・ビル・ブルーンジー「Key To The
Highway」を、伝承歌からはウディ・ガスリーからエリザベス・コットンまで
が歌った「Going Down The Road Feeling Bad」と、この夜はまさに
ベスト・オブ・中村まりといった選曲。加えて最近練習しているというバ
ンジョーも持ち出し一曲披露するという贅沢な全21曲だった。とくに自身
によるハーモニカを加えながら続けた終盤の3曲「Our Blue」「Good Eno
ugh For Me」「Going Back To My Home」の染み入るような情感には思わ
ず息を呑むほど。そこには幾多も歌われてきたトレイン・ソングの系譜が
折り重なってゆく。そう、過去と現在が自然と結び目を作るように。

また珍しくもブルーズ語法のひとつである一音下げチューニングの秘密を
明かしつつ「Lonesome Valley Blues」をじわりと聞かせるなど、この夜
は静謐な表現がとくに際立っていた。一日の終わりにそっと寄り添うような
「When The Day Is Over」、ハーモニカが温かい「Hold A Little Hand」、
そして掌に残ったものを確かめるような「Still In The Sun」と、三曲のまだ
スタジオ・レコーディングが為されていない曲も、ステージを重ねるごとに
その枝を次第に伸ばしていくようだった。

あまりの寒気で駅で待つ手は震えかじかむほどのものだったが、そんな
真冬の夜の何処かにも中村まりの歌はひっそりと羽根を休めながら、まるで
精霊の如くどこまでも静かに静かに宿っていった。

1月28日_e0199046_2321455.jpg


中村まり(Vocal And Martin 000−18)
(pt. 1)
1. A Brand New Day
2.Little House
3.Mother Nature's Son
4.Black Eyed Suzan
5.Key To The Highway ( accompany with Harmonica)
6.If Only I Had Known
7.Hold A Little Hand (aw/ Hmc)
8.Little Blue Day ? (aw/ Banjo)
9.Peace Of Mind
10.When The Day Is Over

(pt .2)
1.Grow To The Sun
2.Sleep Well
3.There's No Point
4.Lonesome Valley Blues
5.God Loves Everyone
6.Going Down The Road Feeling Bad
7.Still In The Sun
8.Night Owls
9.Our Blue (aw/Hmc)

〜〜
e1.Good Enough For Me (aw/Hmc)
e2.Going Back To My Home (aw/Hmc)

by obinborn | 2012-01-29 02:41 | 中村まり | Comments(2)  

Commented at 2012-01-29 10:00 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by obinborn at 2012-01-29 10:47
Yukiさん、昨日は遠方からお疲れ様でした。素晴らしかったですね。あのような空間で中村さんのソロを2時間堪能出来ることが、ぼくにはすごく贅沢なことのように思います。またいつかお会いしましょう。

<< 1月29日 ロング・インタヴュー、井上文貴... >>