2月1日
思えば彼らの存在がぐっと身近になったのは96年の4月に初来日してから
のことだった。その際手応えを感じた彼らは以降頻繁に来日し、ぼくら日本
のファンと交信を深めていったのだった。
どんな時代でもメインストリーム(主流)というものは必ずあり、そこから
少しばかり離れたところに魅力ある音楽が存在する。それを中央と周縁に喩
えることもあながち間違ってはいないだろう。だからそれに気が付いたファン
はこのうえなく幸せだ。
その形容を好むと好まざるとも Qはやはり”永遠のバー・バンド”だったの
だと強く思う。やや抽象的な言い方をすれば、彼らは音楽を愛し過ぎていた
が故に表シーンへと乗ることはなかったし、逆に言えばそのことで守られた
ものがきちんと伝わってくるバンドだった。メンバーの交代は幾つかあった
ものの、69年のデビュー以来およそ40年ワン・ナイト・スタンドのライヴを
彼らはやり遂げてきた。そこに混ざっているタフさとユーモアがぼくは好き
だった。
自分がどういう音楽が好きかくらいは、窓を拭くようにいつもはっきりさせて
おきたい。
そう思う時、Qはまるで写し絵のようにいつもそこにいる。
80年リリースの8作め。広大なスタジアムを映し出した『At Yankiee Studiam』
(78年)の皮肉よりは、『小さなウィンク』というアルバム表題や、”まあ、こ
んなものさ!”とでも言いたげなジャケットが、遥かに好ましく彼らの自尊心を
伝えている。
by obinborn | 2012-02-01 15:52 | rock'n roll | Comments(2)