2月6日

21世紀になってから最初の10年でもっとも繰り返し聞いたアルバムとして、
ためらうことなく挙げられるのがスティーヴ・ウィンウッド『ナイン・ライヴス』
(08年)だ。

音楽的なことに関しては何度も書いてきたのでここではとくに触れないが、
たとえばホセ・ネトのようなウィンウッドとは音楽的なバックグラウンドが異なる
人と連携出来るその心映えみたいなものは、きちんと刻まれていると思う
(似た者同士の接近はときに見晴らしを曇らせる)。

しかもじっくりと時間をかけて発酵させているのが実に彼らしく、実際ネトとの
作業にしても前作『About Time』(03年)で始められてからおよそ5年の月日
を要しているほど。

そうした意味ではやはり職人気質の音楽家なのだと思う。大向こうを張ることが
ないから一般受けはしないけれど、リズムのさざ波が幾多の層となって束なりな
がら降り注いでくるような体験はそうそう得られるものではあるまい。

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ベースレスという特殊な編成で臨んだ第二作。リズムの輪郭がファジーになった
ぶん、カール・ボッチェのパーカッションと名手リチャード・ベイリーのドラムス
が自由に動き回っている。自分で歌詞を書けないウィンウッドがやっと手中に収め
たのは、動き出していく音が光となり影となって交差していく個人史だった。
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by obinborn | 2012-02-07 07:22 | one day i walk | Comments(0)  

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