3月20日
覚えたはずの歌詞やメロディなのに歯痒い。
そんな体験は多かれ少なかれ誰にでもあるだろう。
久し振りにそんな思いに駆られてしまったのは、
スーマーがライヴの冒頭からいきなりニール・ヤングの「Sail Away」を
歌い出したから。事実途中までぼくはこの曲を忘れていたのだった。
「最高級のバーで敗者を見かけた。いかがわしい飲み屋で勝者と出会った」
「Sail Away」にはそんな大いなる皮肉のような歌詞が織り込まれているのだが、
ものすごく象徴的に言えば人生とはおよそそういうものではないだろうか。
それをスーマーは淡々と噛み締めるように歌った。
というわけで、20日の夜はスーマーwith桜井芳樹を江古田倶楽部にて。
温かくほろ苦いスーマーの歌に桜井の陰影あるテレキャスターが寄り添う。
そんなコンビネイションも抜群だったし、オリジナル曲とカバー曲とを
ほとんど隔たりがなく聞かせる点についても、スーマーの人となりが滲み出ていた。
どんな曲でも彼が選び、彼が歌えば、それは彼の歌になる
(自分に引っかからない歌は歌わない)。
ぼくが言いたいのは、つまりそんなことだ。
二人のかなり使い込まれた痕跡のある楽器(ギター、4弦バンジョー、テレキャスター)
を見て、この弦楽器たちも彼らと一緒に旅をしてきたんだな、とふと思った。
by obinborn | 2012-03-21 18:48 | one day i walk | Comments(0)