自分だけ安全地帯にいて反原発を叫ぶのはさぞかし楽なことだろうね
外側に理想郷を抱きがちなサヨクたち。あなたたちすべてにこれを捧ぐ。
内側に国家という独立幻想を見るウヨクたち。あなたたちすべてにこれを捧ぐ。
物事を二つの面から見る訓練をしていないきみたち。あなたたちすべてにこれを捧ぐ。
そりゃオイラだって核エネルギーなんて不気味で嫌いだけど、自分の立ち位置も顧みず
あまりに反原発=正義みたいな旗を振りかざす輩が多くって、こういう一面(以下)
をどう受け止めるんですか? 想像してみたことがあるんですか? って言いたく
なったので。
* * *
大島半島には、主に原発作業員が泊まる民宿が点在し、
地域の若者の多くは原発関連の会社で働く。
人口9,000人ほどの町の中心部、JR若狭本郷駅前でタクシー
約10台が列を成す。運転手たちは車内で携帯電話を操作したり、
外でたばこを吹かしたりして時間を持て余していた。
客の八割は原発関連のビジネス客。原発中止で収入は半分近く
減っている。
「私たちは原発依存症なんて言われるが、こんな田舎で他の仕事
なんてすぐに見つけられますか?」
穏やかな表情がこわばった。
大島の山間部で店を営む女性は、再稼働を望む地元が”金目当て”
と言われることに胸を痛める。
「この町で作った電気の大半は関西に送られ、一番恩恵を受けて
きたのは都市部。でも事故が起きれば都市より私たちのほうが被害
が大きい。それでも再稼働を望まざるを得ない地域の実情を考えて
みてほしい」
(4月15日の毎日新聞社会面より抜粋)
大島半島の先端部。左部に関西電力の大飯原子力発電所が見える。
by obinborn | 2012-04-17 13:21 | rock'n roll | Comments(5)
もちろんその夫婦は関東圏の汚染による健康被害と
今後起こるとされる地震被害などを考えての移住です。
「どこにいてもできる仕事なら、とっくに移っているよ」と言うと、
「仕事を変えてでも、子どもの健康を考えて移住すべき」と
その夫婦は言います。「大本営の嘘に怒りを覚えても、
逃げる勇気の無い先人たちと同じだ」とも言われました。
自分は家族の健康も顧みず、仕事に縛られているのか?と
自問自答しましたが、友人のその意見にずっと違和感を抱いていました。
考えたあげく「関東に残って声を挙げ、この事態をなんとかしたい」から、
自分は移住しないのだとはっきりわかりました。
(続き)
人にはそれぞれ事情があります。
小尾さんのおっしゃる物事の二面性はさまざまなところで見られます。
脱原発が勢いを増す中で、大変になっているのは
原発に依存せざるを得ない人々の生活。
私の故郷は九州です。原発から15kmほどの町で、いわゆる警戒区域内。
幼少の頃からいろいろあったので、大飯町町民の悩みはわかっているつもりです。
脱原発で終わりではなく、停止中の生活保障はもちろんですが、
廃炉に向けての仕事の保障、原発関連住民の将来的見通しまで、
一刻も早く国が責任を持って意思を示すべきですよね。
これまでの政府の無責任ぶりを見ていると落胆ばかりですが、
諦めてしまうとすべてが終わりです。やはり、声を挙げて、
動くのみだと思います。小尾さんのおっしゃる二面性を見つめながら、
声を挙げた人の責任として「脱原発以降」のこともしっかり考えて。
ネットで知識を増やすツイッターやフェイスブック止まりの人が
ジャスミン革命などを見て、ソーシャルメディアが世界を変えると信じ、
路上に出てこない「高見の見物」が多いことも気になります。
あれらの革命は多くの動員があったからこそなのにと思います。
ところから「動けない」のだと思います。現実的に資金がないとか、今
現在の生活を変えられないとかが私の場合主な理由ですが、ひょっとし
て幾つかの諦観があるかもしれません。いずれにしても今回の震災や原発
事故ですべてが剥き出しになったような気がします。それは持てる者と
持たざる者の差であるでしょうし、逃げるか残るかの価値観の選択でも
あるでしょう。私はやはりどうしても、原子力産業に従事したり、その
地域で生計を立てている人に「文明の奴隷になるな!」とは言えないの
です。原子力に限らず生命体というのは本来エゴイスティックなもので、
「No Nukes!」の綺麗ごとだけでは済まないよ、ものごとには必ず二面
性がつきまとうのですよ、とだけは言っておきたかったのです。
それは例えば捕鯨問題でクジラが可哀想という気持ちと、捕鯨で生計を
立てている人の立場になる、その両方を考えなくてはいけないことと
同じではないでしょうか。
『ミツバチの羽音と地球の回転』を
ご覧になりましたでしょうか。
30年以上も原発建設に反対する
上関住民のドキュメンタリーです。
過疎化の故郷に帰ってきた若者、
気骨ある老人たちの決死の抗議行動。
中電から仕事を依頼された建設業の人。
二分された住民はそれぞれの思惑の中、
生活を放り出して、ぶつかり続ける。
すべては「そこを離れられない」人々の事情。
推進派・反対派に関係なく、
今こそ見るべき価値のある作品だと思います。
もし観ておられたら、小尾さんの感想を
お聞きしたいと思ってました。