4月28日
カントリー・ミュージックに憧れて音楽を始める人もきっといるだろうけれど、
パンクやフリー〜アヴァンギャルドの世界からカントリーへと辿り着いた人は
あまりいないのではないか。
そんな後者の匂いをハル宮沢率いるコズモズはいつも感じさせ、納得させ、
ときにしみじみと泣かせるのだが、宮沢がストラトキャスター一本で全編を
通した今夜もまた痛快極まりないものだった。
スライやスタッフやクリームの語法をカントリーに混ぜるということ以上に、
他人が書いた曲の他人の物語を自分に引き寄せるといった切迫感が何よりも
胸を打った。そして宮沢のイガラっぽい歌声には、彼がやり過ごして来た歳月が
しっかりと宿っていた。
それがイアン・マッコールの「Dirty Old Town」であれ、
それがオレンジ・カウンティ・ブラザーズの「これこそ男たちの人生」であれ、
それらが昨日ではなく今日の歌として聞こえたことがとても嬉しかった。
ぼくがコズモズのライナーノーツを書かせて頂いてからはや5年以上が経つ。
パラフレーズから渋さ知らズまで東京アンダーグラウンドの放蕩息子、ハル宮沢と。
by obinborn | 2012-04-29 02:03 | rock'n roll | Comments(0)