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ウォーレンさんの窓辺から

ウォーレン・ストームもまたルイジアナのスワンプ・ポップを代表する
シンガー&ドラマーだ。
彼の50年代のキャリアはまた別の機会に譲るとして、今回はストームが
80年にリリースしたアルバム『Sincerly』に触れておこう。

というのも今をときめくサニー・ランドレスが本作に参加し、ドブロや
エレクトリック・スライドで大活躍しているから。
私がランドレスの名前を初めて知ったのは確かジョン・ハイアット『Slow Turning』
だったと思うが、それと前後してルイジアナのケイジャン・バンド、
ボーソレイユのアルバムでそのプレイを聞くようになった。

白眉はボビー・チャールズ(ストームとは高校が同級)の「Tennessee Blues」
だろうか。ゆる〜く、されど粘っこいフレーズを醸し出すランドレスのギターが
味わい深い(最近の彼は弾き過ぎだと思う)。

他にはチャック・ベリー「Roll Over Beethoven」、ジェリー・リード作でマイク・
フィニガンの名唱でも知られる「Misery Loves Company」、デイヴ・エドモンズ
もファーストで演奏していた「I'm A Lover Not A Fighter」(ここでは作者がプロ
デューサーのジェイ・ミラーになっている)辺りに注目を。フロイド・クレイマー
風のゆったりとしたピアノが聞ける「I'm Busted」もなかなかの出来。

どこまでも迂回しながら地続きでしかないような気持ち。
昨日見た窓を今日もまた見つめるという諦観のようなもの。
溜め息もまた深呼吸と同じような苦い伴侶なのだ。
そのような感情にストームの音楽はきっと寄り添っていくことだろう。

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by obinborn | 2012-05-02 21:36 | Comments(0)  

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