精緻な地図には頼らずに。

がむしゃらな憧れがその音楽をとてつもないリアルに導くことがある。
76年にデビューしたオレンジ・カウンティ・ブラザーズは、さしずめ
そんなバンドの筆頭格だっただろう。

砂埃舞うテキサス一帯の音楽をある種の切迫感とともに目の前に差し出す。
そんな意味で、オレンジは唯一無比というよりは正直過ぎるようなバンドだった。
求められたものを演奏するのではなく、自らが求めたものを歌う。その行為の
迷いのなさや、ゴツゴツとした情感に私は今でもときどきひどく無口になって
しまう。

精緻な地図には頼らない。時代という窓に出入りすることもない。
そんな彼らの心映えに私は一体どれだけ励まされてきたことだろう。
飯田雄一の骨っぽくざらついた歌には、でっかい太陽がとてもよく似合う。

とても不思議なことなのだが、彼らの陽気なカウボーイ・ソングスの数々
には何故か悲しみの表情が宿っている。

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76年の12月にサンフランシスコで録音されたオレンジの2作め。のちに
久保田麻琴によるリミックス・アルバムも制作されたが、まずは本家本元
のこちらから。ゲストではホットリックスのマリアン・プライスがヴォー
カルでいい味を出している。
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by obinborn | 2012-05-08 21:12 | rock'n roll | Comments(0)  

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