ビートという共通分母〜相互影響のなかで音楽を考える

『レコード・コレクターズ』6月号でサエキけんぞう氏がストーンズ
「(I Can't Get No)Satisfaction」(65年6月に米チャート・イン)と
スティーヴィ・ワンダー「Uptight(Everything's Alright)」(66年1月)
とに共通項を見いだしていらっしゃったことが大変興味深い(幸いなこと
に先月号のような巣鴨プリズン級の噴飯モン発言はなかった)。

実は私もさる2月のテデースキ・トラックス・バンドのライブ・ルポでまった
く同じことに触れていたから(彼らが「Uptight」を演奏した故)。つまり
この2曲の共通点は”頭打ちビート”なのでした。

サエキ氏も対談で述べられているように、マーサ&ザ・ヴァンデラス
「Dancing In The Street」(64年9月)の頭打ちに影響されて「Satisfaction」
が生まれたというのも、あながち珍説とは言えまい。

もう少し飛躍させればオーティス・レディング「Respect」(65年10月)も
頭打ちであり、「Satisfaction」症候群と考える見方も出来るだろうし、逆に
同曲に影響を与えた曲として「Dancing In The Street」のみならず、私はフォー・
トップス「I Can't help Myself」(65年5月)辺りも入れたいのだが、
これはチャート・インの時期が「Satisfaction」とあまりに近すぎるかな?

いずれにしてもこの頭打ちスネアを4拍並べるというスタイルは、2拍めと
4拍めを強調したいわゆるバックビート(ロック・ビート)とは異なるだけに、
当時かなり画期的だったはず(後年「Miss You」で実践するディスコ・ビート
〜バスドラで4拍連続〜との表裏関係!)。

理屈ばっかり言っているようですが(笑)、こうした相互影響という観点から
音楽を定点観測する方法は、研究のうえで最もベーシックなものだと思う。
エルヴィスがすべてを始めた!とか、ビートルズが変革を先導したのだ! といった
ヒロイックな見方(英雄奇譚〜実は大嘘)ばかりをしていると、どうしても同時代の
横のつながりを見失いがち。

そうではなく、同時代のウネリとして何かを感じ取っていくほうが遥かに視野が広が
る。う〜ん、ベニー・ベンジャミンとチャーリー・ワッツとがようやく繋がったわい!
私も未だ勉強中です(笑)。

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65年の夏から66年の冬にかけて全米で大ヒットしたのがこの2曲。約半年の間
に起こったこの”化学反応”を感じ取りたい。

追記:『レココレ』のベーシスト特集では小山哲人さんのジャック・キャサディ評
が個人的には大ツボ! 小山さんとはストーリーズ@下北で昔よく飲んだなあ〜と
いう回想はともかく、ツナ「Sea Child」のエレベは凄いよ!!

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by obinborn | 2012-05-16 15:22 | one day i walk | Comments(0)  

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