Needle of Death

今日は秋雨。こんな日には英国フォークがよく似合う。
バート・ヤンシュは正確にはスコットランドの出身だ
が、60年代の初期にロンドンへと渡り、彼の地のフォ
ーク・シーンで研鑽を重ねただけに、ブリテン諸島を
代表するソングライター/ギタリストと呼んでいいだろ
う。

ディヴィ・グレアムのギターに範を取り、アン・ブリ
ックスと恋仲になり、ジョン・レンボーンと出会いペ
ンタングルを結成したヤンシュは、言うまでもなく英
国フォークの至宝である。ペンタングル時代からジャ
ズ・イディオムを活用するなど革新的なアプローチを
見せていたが、バンド解散後はそれまでも進めていた
ソロ活動をより本格化させ、多くの人々を虜にした。
写真の77年作『A Rare Conundrum』もファンの間
では以前から評価の高い代表的な一枚だ。

ケルト文化からの影響、伝承バラッドとの積極的な意
志疎通、耽美的な作風などなど、ブリテン諸島の音楽
には独自の陰影が感じられる。また同じギタリストと
いってもジョン・レンボーンが基本的にインストゥル
メンタリストとして作品に向かうのとは対照的に、ヤ
ンシュの場合はまず歌ありきといった姿勢があり、そ
んな部分にもぼくは強く惹かれたのだった。

残念ながらヤンシュは昨年の秋に亡くなってしまった
が、人生を思索する態度、歌のもう一つの声となるギ
ターの深い井戸に木霊するような響き、永遠のボヘミ
アンであろうとする作風などが、心を捉えて離さない。
彼の歌を聞いていると、厳しい自然と血塗られた歴史
に晒されたイングランドの大地が、音の彼方からくっ
きりと浮かび上がってくる。

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by obinborn | 2012-10-18 15:20 | blues with me | Comments(0)  

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