Ooh La La
ンドを演じ続けたのがフェイシズだっ
た。毎晩のように繰り返される酔っぱ
らいの馬鹿騒ぎ。そんなパーティの主
役を、あるいは大根役者を、ロッド・
スチュワートは自ら好んで演じた。酒
と薔薇の日々。そんな時間はずっと長
く続くはずだったが、バンドを創設し
たロニー・レインは、73年の『ウー・
ラ・ラ』を最後に脱退してしまう。
フェイシズ最後のアルバムとなった
『ウー・ラ・ラ』には悲しみだけが張
り付いている。パーティが終われば一
人ぽっちの朝がまたやって来る。そん
な寂しさにB面の「ぼくが遅れたら If
I'm On The Late Side」や「喜びと悲し
み Glad and Sorry」そして「もう一つ
の酒場で Just Another Honky」がひっ
そりと寄り添っている。
朝日がパブの窓を照らし出す。その
眩しさのなか、空っぽの心を抱えなが
ら青年は家へと帰っていく。アルバム
の最後には「ウー・ラ・ラ」がそっと
置かれた。”ぼくがずっと若い時、も
っと自分を知っていればなあ”といっ
た独白のような歌だ。そんな歌を口ず
さみながら、青年はひとり喧噪の残骸
のようなパーティの会場を後にする。
by obinborn | 2012-10-24 13:49 | rock'n roll | Comments(0)