I'm Walkin'

 ファッツ・ドミノは50年代のインペリアル
吹き込みだけでいいんじゃね? そんな浅は
かな認識を軽く吹き飛ばす60年代後半のリプ
リーズ盤のなかの一枚がこれだ。

 確かにデイヴ・バーソロミュー楽団と一体
となった50年代のドミノは、そのニューオー
リンズR&Bスタイルを確立したという意味で
も重要だと思うが、もう少しあとの時代の彼
には独特のレイドバック感があって、これま
た捨て難い。

 かつてのヒット曲をジングルで繋いでいく
アルバム導入部こそオールディーズ・ショウ
の幕開けといったところだが、それはむしろ
騙し絵のようなもので、リチャード・ペリー
(ニルソン、リンゴ・スター、カーリー・サ
イモンなど)の制作下、西海岸で行われた本
編のレコーディングからは、ドミノが新しい
環境のなかで手足を温め直しているような姿
が確実に伝わってくる。

 「レディ・マドンナ」に「ラヴリー・リタ」
とビートルズの曲がカヴァーされているのも
楽しい。とくに前者は元々ポール・マッカー
トニーがドミノを意識して作ったピアノ・ロ
ック曲だけに感慨深いものがある。そしてエ
リック・ゲイルのギターとドミノが静かに寄
り添う終曲「ワン・モア・ソング・フォー・
ユー」を聞き終える頃には、50年代半ばに
始まったニューオーリンズR&Bがロックの時
代を経て一回りしたような輪廻すら感じてし
まう。

 何でもこのアルバムはゲレント・ワトキン
スのフェイヴァリッツだとか。そう言われて
みれば肩肘張らないここでの音楽は英国パブ
・ロックと同じような匂いがする。

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by obinborn | 2012-10-27 22:49 | rock'n roll | Comments(4)  

Commented by バイユー有 at 2012-10-29 08:20 x
このLPは未入手未聴です!読みながら、すぐにでも入手したくなってしまいました!!
そして最後の4行でノックアウトです。
…探します。
Commented by obinborn at 2012-10-29 11:26
ブルーズ・R&Bは(自分も含めて)とかくヴィンテージな録音のみを重宝しがちですが、このドミノはなかなかいい出来だと思います。CD化はされているのかな?
Commented by バイユー有 at 2012-10-29 12:58 x
でもやっぱアナログ盤ですよねー。

ちなみに“そのようなシリーズ”、僕も今、思いつくものを…。
『BLUE NIGHT/Percy Sledge』
『BLUE BIRD/Jimmy Rogers』
が浮かびました。
ん?どちらもBLUEで始まる〜。
アル・グリーンの 『Lay It Down』やソロモン・バークの『Nothing's Impossible』もヴィンテージ信仰を覆す大名盤だと思います。
Commented by obinborn at 2012-10-29 13:35
さすがは有さん!
ぼくはパーシー・スレッジでは70年代のキャプリコーン吹き込みがとく
に好きです(購買意欲を削ぎまくるディスコ風ジャケで大損をしていますが〜笑)。

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