Arrive On Arrival

 その青年はミシシッピ州の田舎から遥か
彼方のニューヨークを目指した。ギターと
ハーモニカとわずかな荷物。手にしていた
のはそれだけだった。大都会を彷徨う自身
を野良猫に譬えた「Big City Cat」、自己
懐疑的な「What Kinda Guy?」、置き去り
にしてきた風景を噛み締めながら人生の困
難を思う「It Isn't Gonna Be That Way」
など、本作には当時まだ24歳前後だったス
ティーヴ・フォーバートの揺れ動く心情が
ハスキーな声とともに歌われている。

 とりわけ冒頭の「Going Down To Lau
rel」の躍動感はどうだろう。”愛っていう
のは気持ちのおかしな状態のことさ”と歌
い飛ばしていく、その一絞りの鮮やかさ。
処女作にはその人のすべてが宿っている。
そんな言い回しは、本作にこそ。

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*『レコード・コレクターズ』誌2010年
3月号シンガー・ソングライター特集に寄
稿した文章を転載しました。あらかじめ
ご了承ください。
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by obinborn | 2012-11-11 10:50 | one day i walk | Comments(0)  

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