サウスサイドを歩くリトル・ウォルター

最初に聞いたブルーズ・アルバムは先輩がテープに落と
してくれた『ジョン・メイオール&エリック・クラプト
ン』。私が確かまだ10代の頃だったと思うが、そこから
本物のブルーズに辿り着くまでは更に時間が掛かってい
る。

初めて自分のお金で購入した”本物の”ブルーズLPはギタ
ー・スリム、次はT.ボーン・ウォーカーだった。そんな
背景もあって、当時からルイジアナ〜テキサス系のブル
ーズにより親しむ下地が出来上がっていったわけだけど、
むろんよりモダンなシカゴ・ブルーズもどんどん好きに
なっていった。

とくにリトル・ウォルターのカッコ良さといったらなか
った。気風が良いというか、喧噪に塗れた町のなかを風
を切って歩いていくようなシャッフル・ビートと豪快な
電化ハーモニカに惹かれた。ファンであれば先刻ご存知
のようにリトル・ウォルターことウォルター・ジェイコ
ブスは37歳でその短い生涯を終えている。それも些細な
喧嘩の果てのことだったというから、差し出された人生
や生々しい現実に対してうまく折り合いを付けることに
どこまでも下手っぴいな人だったのかもしれない。

50年代の後半から60年代初期にかけて録音されたシン
グル盤をコンパイルしたこの『Confessin' The Blues
〜ブルーズの告白』は、とくに親しみやすい一枚だと
思う。あまりにも有名な「Off The Wall」や「Juke」
といったナンバーは収録されていないが、その代わり
にルー・ルイスがカヴァーした「Temperature」や
ストーンズも60年代に吹き込んだアルバム表題曲があ
る。そういえばキース・リチャーズはエクスペンシヴ
・ワイノーズのツアーでウォルターの「Crazy Mixed
-Up World」を演奏していたっけ。その曲もここでは
サイドBの2曲めにきちんと収められている。ディクソ
ン=ビロウのリズム隊のスウィング感や、ときにジャ
ジーな展開を見せるマイヤーズ兄弟やロックウッドの
ギターの繊細さは、言わずもがなだろう。

今やブルーズといえば研究や史実の対象となったり、
演奏する側にしてもアフロ=アメリカンというよりは
アングロ・サクソン系によって守られていく遺産のよ
うなものになりつつある。それはそれで価値あること
だと思うが、リトル・ウォルターのこのアルバムを聞
くと、私はブルーズという表現が最もヒップだった時
代のことを考える。そしてウォルターが威勢良くサウ
スサイドを闊歩する姿を想像するのだった。

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by obinborn | 2012-11-23 11:35 | blues with me | Comments(0)  

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