Hey Jude

 先日も友人と話題にしていたのがビートル
ズ久し振りのアナログ・リイシューのことだ
った。といっても価格の高さやツルツル・ジ
ャケの味気なさなどがどうしても目立ってし
まい、「21世紀もビートルズかよ~」とちょ
っと状況を揶揄するような会話になってしま
った。個人的な音楽体験を振り返ってみても
ビートルズは必須科目というか通過儀礼みた
いなものであり、手を変え品を変えながら次
々と発売される近年のアイテムには殆ど食指
が動かない。

 とはいえ勿論ビートルズは大好きだった。
中学と高校の6年間で彼らの曲は殆ど覚えて
しまうくらい夢中になったし、10年に満たな
かった活動期間にあれだけの創作意欲を漲ら
せて成長していった姿も見事という他ない。
恐らく岐路となるのはビートルズそのものへ
どんどんマニアックになっていくか、それと
も他の音楽へと好奇心を広げていくかの違い
なのだろう。知らぬ間に後者の道を選んだぼ
くはやがてバッファロー・スプリングフィー
ルドやCSN&Yを知り、ザ・バーズに開眼し、
ニール・ヤングやジェイムズ・テイラーの歌
に共鳴していった。

 それにしてもビートルズのカタログが『パ
スト・マスターズ』を含む14アイテムに固定
されてしまってから久しい(むろん『アンソ
ロジー』や『ラヴ』といった企画物は除く)。
アップル〜EMIの立場としては公認オリジナル
・アルバムとしての13枚に、シングル盤のみで
発売された曲やヴァージョン違いなどを集め
た『パスト〜』を加えた形でカタログを整理
したかったのだろうが、ご存知の方も多いよ
うにリアルタイムの60年代は勿論、70年代
になってからも各国で作られる独自の編集盤
というものがあり、それが実に味わい深かっ
たのだ。だいいち日本で最初に出た『ミート・
ザ・ビートルズ』や『No.2』にしたって、
UKオリジナルの1作目、2作目とは収録曲
が異なっていたんだからね(苦笑)。

 今回取り上げる『ヘイ・ジュード』も、今
となってはすっかりレアになった珍編集盤?
である。何しろ全10曲が「恋する二人 I Sho
uld Have Known Better」のような初期のリ
ッケンバッカー・サウンドからスライド・ギ
ターが埃っぽく舞う末期の「オールド・ブラ
ウン・シュー」まで時期が完全にバラけてい
るという状態。今冷静になって考えてみれば、
オリジナル・アルバムに未収録だったシング
ル曲を中心にコンパイルした内容であること
は間違いないのだけど、、、。

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 それでもこの『ヘイ・ジュード』にはずい
ぶんお世話になった。先ほど触れたように録
音時期がまちまちだっただけに、初期の無邪
気な音と辛辣な「ドント・レット・ミー・ダ
ウン」とでは随分雰囲気が異なることを子供
心に察することが出来たし、どこか諦観が漂
うジャケットでの四人も”大人の事情”を物語
っているようでちょっぴり複雑な気持ちにも
なった。そういえばリンゴ・スターが険悪な
空気に耐えられずスタジオを抜け出してしま
う事件もあったっけ。それを象徴するのが「
ジョンとヨーコのバラード」であり、ここで
はリンゴの代わりにポールがドラムスを叩い
ているのだった。「オールド・ブラウン・シ
ュー」のブルージーで泥臭い味わいにしても、
綺麗なメロディを追いかけるだけで精一杯だ
った中学生にはただただ謎に満ちた演奏であ
り、こうしたジョージの方向性がスワンプ・
ロック・ライクな「スー・ミー・スー・ユー
・ブルーズ」へと結び付いていくことなど、
当時は知る由もなかった。

 この『ヘイ・ジュード』で真っ先に思い出
すのは、近所の駄菓子屋さんに集まってみん
なで開封したばかりのこのLPを聞いたことだ。
その店の一人息子だった同級生が、確かお年
玉を貰ってレコードを購入し、それじゃ一緒
に聞かせてよと集まったのではと記憶してい
る。互いに酸いも甘いも知らない中学生だっ
たあの頃。ただただビートルズのレコードを
ステレオで聞けるというだけで興奮したぼく
たちクラスメイトは、みんなで「ヘイ・ジュ
ード」の”ラ~・ラ~・ラララッラ~”のリフ
レインをハミングして喜び合っていた。その
時にお店が出してくれたお煎餅のことまで、
今でも覚えているくらいだ。
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by obinborn | 2012-11-26 17:10 | rock'n roll | Comments(0)  

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