上手過ぎては駄目なんだ

カーサル・フライヤーズのウィル・バーチ
はこう言う。「ナイーヴな魅力に溢れ、か
つ繊細なダウンホーム感覚とドゥ・イット
・ユアセルフな質感を備えたアルバムだ!」

バーチ氏がそう指し示したレコードは『銀
の拳銃 Silver Pistol』。ブリンズレー・シ
ュウォーツが71年に発表したサード・アル
バムのことだ。実際こうして久し振りに聞
き返してみても、ほんわかと温かい気持ち
に包まれてしまう。夏であれば草いきれと
ともに縁側で耳を澄ませればいいだろう。
冬であれば冷気に触れながらくっきりと見
渡せるオリオン座へと思いを馳せるのも悪
くない。

新しくメンバーに加わったイアン・ゴムが
4曲も書き下ろしていること。そのイアン
のギターによってバンド・アンサンブルが
膨らみを増したことなどを、ぼくはまるで
昨日のことのように思い起こす。何しろビ
リー・ランキンのドラムスはもたりまくる
し、ボブ・アンドリュースのオルガンにし
てもリチャード・マニュエルやガース・ハ
ドソンを精一杯気取っているといった感じ。
にもかかわらず、込み上がってくる気持の
高ぶりはどうだろう。

ロック音楽を聞いていていつもぼくが思う
のは、演奏が上手過ぎてはいけないという
こと。きっとそれはブリンズレーのような
バンド・サウンドが心の端々にまで棲みつ
いていることとも関係するのだろう。クリ
ックとはおよそ無縁であるだろうビリー・
ランキンのドラムズに接していると、ぼく
はいつも大事なものに気が付く。そのよう
な羅針盤として、ブリンズレーズの音楽は
今日もまた微笑んでいるのだった。 
                                        そう、ハイスクール時代の友だちのように。

e0199046_22504294.jpg

[PR]

by obinborn | 2012-12-02 00:36 | one day i walk | Comments(0)  

<< アラバマ・ボーイの軌跡 8トラック・レコーダーが回されていた >>