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フラッシュさんに行ってきた

昨日(10日)は早朝バイトを終えたあと、
下北沢のフラッシュ・ディスク・ランチに
行ってきた。ぼくが長年通っているこの中
古レコード店も、今年で遂に30周年。いや
はや椿正雄さん、おめでとうございます!

お祝いといってもぼくの場合いつものよう
にビールのロング缶をお渡しするくらいし
か出来なかったのだが、それでも「オビさ
ん!いつもありがとうございます!」と彼
らしい活力のある声がすぐに返ってきた。

82年に開店されたというから、ぼく自身も
24歳の頃からお店に伺っていたということ
になる。昨日も椿さんにお伝えしたことな
のだが、開店当時にブッカー・T&プリシラ
・クーリッジの2枚組を購入したのを、ま
るで昨日のように覚えている。

その後も通い続けた。お店はいつの間にか
お隣の部屋も借りられてスペースが倍にな
った。確か最初は紙製だったレコード袋も、
いつしか椿さん自筆のごきげんなロゴ入り
の半透明ヴィニールへと代わっていった。
そして肝心のレコードだが、今思いつくま
まに挙げてみても、デヴィット・T・ウォ
ーカー『Press On』、シー・ミッドナイタ
ーズ、クリス・スペディング、ガーランド・
ジェフリーズの幾つかのアルバムからチャ
ールズ・アーランドやジョン・パットンら
のハモンドB3・サウンドまで、とにかく多
くのレコードをその安さの魅力もあって買
いまくった。

むろん楽しい思い出ばかりではない。とあ
る日、レコードを見るために棚を上下させ
るぼくの手つきが乱暴で、椿さんに怒られ
たこともあったっけ。その帰り道の何とも
苦い感覚を思い起こすこともあるけれど、
考えてみれば椿さんはレコに接する際の当
たり前のことを身をもって教えてくれたの
だった。ぼく自身に若さ故の傲慢やおごり
の気持ちがあった。もしあの時点で彼に注
意を促されなかったら、ぼくはあるいは嫌
なタイプのコレクターや尊大な収集家へと
成り下がっていたかもしれない。

今や買うレコードはLPからシングル盤へと
シフトしつつあり、毎回フラッシュでR&B
やソウルそしてブルーズの膨大な7インチを
探す行為はぼくの大きな楽しみだったりす
る。普段記している収穫日誌はまた後日に
改めたいが、フラッシュさんの30年はまた
同時に一介の音楽リスナーとしてのぼく自
身の30年の歩みでもある。そして同じよう
な思いでフラッシュの30周年を祝っている
方々も少なくないのではないだろうか。

今やダウンロードの音楽配信が当たり前に
なりつつある。そのいい側面や利便性にも
むろんしっかりと目を向けなければいけな
いだろう。メディア(媒体)が激変する最
中で古い価値観についすがってしまうのは
ぼくたち中年世代の悪癖だ。それでも思う。
アナログ盤にはその圧倒的な良さ(ジャケ
ットの楽しみから音の迫力まで)があるこ
とを。対面販売ならではの温かい交信の場
があることを。

そんな思いを抱えつつ、すっかり寒くなっ
た12月の下北沢を後にした。肩に下げる
バッグへと詰め込まれたレコードをこれか
ら聞くドキドキ感は昔も今も変わることが
ない。ほんの僅かでも変わることはない。

フラッシュさんに行ってきた_e0199046_8101480.jpg

by obinborn | 2012-12-11 08:21 | one day i walk | Comments(0)  

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