Winter Tour 2012~2013

 惚れ惚れするようなコヨーテ・バン
ドと見事に合体した佐野元春のライヴ
を14日の神奈川県民ホールで観た。コ
ヨーテ・バンドが最初に招集された06
年の頃からは早くも6年近くが経つ。
始めの頃はシンプルなロック・トリオ
だった彼らも、いつしか渡辺シュンス
ケの広がりのあるキーボードと藤田顕
の荒くれる大海のようなギターを加え
ながらすっかり逞しくなった。まずは
そのことを称えたい。

 佐野が手練手管のザ・ホーボー・キ
ング・バンドとの長年に亘る信頼に満
ちた連携とはまた別に、一世代若いザ・
コヨーテ・バンドを起用した意図ひと
つひとつにも、ロック・ミュージック
が陥りがちな成熟という罠を回避する
んだ!という思いが汲み取れるが、単
なる剥き出しの粗いオルタナティヴ・
ロックに終始するのではなく、本当に
ここ数年の彼らはタイトに引き締まり、
なおかつ表情豊かな演奏を聞かせるよ
うになったと思う。

 2012〜2013年に亘るこの長いこのウ
ィンター・ツアーはまだ始まったばか
り。各地で無数に存在する熱心なファ
ンたちのためにも楽曲紹介は控えたい。
それでも序盤でいきなり聴衆たちを原
点へと引き連れ、続いて近年のコヨー
テ・バンドとの収穫を報告し、中盤で
は3月に発売を予定されている新作か
ら幾つかのナンバーを披露する。そん
な考え抜かれたステージの構成や流れ
は素晴らしいものであり、佐野元春と
いう長い歳月に耐え抜いてきた人のキ
ャリアを染み込ませるものだった。そ
の一曲一曲に投影された聞き手の思い
がまた会場を熱狂の渦へと叩き込んで
いく。およそ2時間半に及ぶ全23曲に
は山もあれば谷もある。風通しのいい
8ビートもあれば、濃密な16打ちもあっ
た。静寂と共鳴するような曲もあれば、
大胆にリアレンジされた名曲もあった。

 果たして自分はどういうものが好き
だったのか。どんな人たちが好きなの
だろうか。あるいはたとえ歳を重ねた
としても守護しなければならない領域
とは一体何だろう? 佐野元春の歌は
およそそのようなことを新しい演奏や
フレッシュなアレンジを携えながら問
い掛けていく。すっくと彼方を見渡す
ように投げ掛けていく。

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by obinborn | 2012-12-15 01:07 | rock'n roll | Comments(0)  

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