明るい歌が悲しみを伝える

帰り道に友人と「瑞々しいね。高校時代に
あんな友だちがいればよかったね」と思わ
ず語り合うほど、本日(19日)に吉祥寺の
スターパインズ・カフェで行われた東京ロ
ーカル・ホンクのライヴは良かった。無邪
気に音と遊ぶ感じがそうだし、コンサバな
情感がそうだし、明るい曲が悲しみを伝え
る含みもそうだった。

今年3月に同じ会場で行われた『さよなら
カーゴカルト』ツアーのファイナルはホン
ク9と題して、日頃から彼らとの絆も深い
音楽家たちと合流したアプローチを聞かせ
たが、今年最後を締め括る本日のライヴは
あくまで素のホンクというか、メンバー4
人に絞った故に、改めて彼ら本来の力量に
唸らされる結果となった。

しかも第一部をアコースティックで、第二
部をエレクトリックでと明確に分けた構成
がいい濃淡を付けていたし、まるまる3時
間に及ぶ演奏はまさに満足度120%といっ
た贅沢さだ。アコースティック・セットは
ちょうど客席の真ん中に臨時のステージを
作り、メンバー同士が円を囲むように演奏
するという和気あいあいとしたもの。その
意図した音の小ささはまさにクワイエット・
ロックンロールというべきものであり、デ
リケートな空気感を運んでくる。そういえ
ばホンクの前身である”うずまき”時代はこ
んな”静かさ”にこだわっていたとか。今と
なっては懐かしい「ヒコーキの歌」や「
遠い願い」といった木下弦二の原点ともい
える曲が世間の様相もあって、ぼくには復
雑な歌として届いた。

一転して第二部のエレクトリック・セット
では逞しいバンド・サウンドが全開に。「
はじまりの歌」でのメンフィス・ソウル・
マナー溢れるミディアム・グルーヴはもっ
と聞いていたいと思わせるほどだったし、
小さな生命に心を寄せた「目と手」は震災
後に否応なく悲しみを伝えるものとなった。
このバンドのソングライターである弦二は
よく「曲が作者の意図を離れていく」こと
を口にするし、本日もまた例外ではなかっ
たが、ぼく自身こうして「昼休み」や「拡
声器」といった日常的な歌を耳にする時、
その背後に思い浮かべるのは殺戮の場面で
あったり、昨日まで当たり前だった日常が
今日失われていく残酷さであったりする。

そんな個人的な感想はともかく、インプロ
ヴィゼーションの嵐のような「カミナリ」
はホンク4人の演奏力を伝えて余りあるも
のだったし、アンコールの時間では自在に
アコースティックとエレクトリックを往来
する足回りの良さにも改めて心奪われた。

もう何十回もライヴの場で聞き馴染んだ曲
が幾つも幾つもある。それでも新たなライ
ヴに接する度に、まるで最初に聞いた歌の
ようにリセットされ、堂々と響き渡る。ぼ
くにとって東京ローカル・ホンクとは、そ
んなバンドとして今日もなお輝き続けてい
る。

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by obinborn | 2012-12-20 01:38 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

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