冒険者たち
とじっくりお話させて頂いたのですが、やは
り”信念の人”という印象を改めて強く受けま
した。
信念なんていうと頑固で窮屈なそれをイメー
ジされる方もいらっしゃるでしょう。しかし
佐野さんの場合はあくまでオープン・マイン
ドで前向き。アクティブですごく情熱的。ス
タジオ慣れしていないぼくを優しく受け止め
てくれる度量の大きさも含めて、しっかりと
その肖像を切り結んでいくのです。
分別ある大人が恥ずかしがったり、照れたり、
あるいは過去に置き去りにしてきてしまった
青臭さを、佐野さんはむしろ力強く肯定する。
もう少し具体的に言うと、音楽は継承されて
いかなければ、良きこと佳き思いは世代を超
えていかなければ、という認識にいつもしっ
かりと立ってらっしゃる。
彼より一世代若いザ・コヨーテ・バンドを積
極的に登用して一緒にツアーに出ることも、
そんな姿勢の現れでしょう。そのコヨーテ・
バンドに関しても、この2〜3年の間にすっ
かり音が逞しくなった。若いバンドを使って
目先を変えるとか、そんな意図的なことでは
い。彼らと一緒に旅に出て全国を周り、オー
ディエンスの熱をしっかりと受け止めながら、
コヨーテたちをしっかりと見守る。彼らの成
長を信じる。素晴らしいことだと思います。
スタジオで曲が流れている間ヘッドフォーン
をしながら合わせてハミングする佐野さんは
とてもチャーミング!ああ、この人は本当に
音楽が好きなんだな、ロック・ミュージック
の喜びや痛みをきちんと自分で受け止めてこ
られてきたんだな、と感じました。
ビートルズの革新性とユーモア。ザ・バーズ
の朝露のようなリッケンバッカー・サウンド。
バディ・ホリーのお茶目なロックンロールや
マンフレッド・マンの気取り。あるいはラン
ディ・ニューマンの日常を見つめる視点はど
うだろう。ボブ・ディランの動き出していく
ような言葉たちはどうだろう。
それらすべてが佐野さんの血となり肉となり、
鮮やかなまでに彼の肖像へと辿り着いていく
のです。ぼくも青臭いことを言うようですが、
世の中の流れのいいほうに貢献出来たらと思
っています。辛抱強く、そして冒険者たちの
歌を忘れずに!
by obinborn | 2012-12-21 17:27 | rock'n roll | Comments(2)