フリー・フォームの奔流

轟音の即興演奏がまさに圧巻だった。パワー・
トリオと言うべき「ブギ奉行」を26日、渋谷
のBAR ISSHEEにて体験した。

ブギ奉行という名前はまあハル宮沢特有の騙し
絵のようなものであり、こちらとて形式的なブ
ギ・ロックなど鼻から予想していなかったが、
案の定、幾多のフリー・インプロヴィゼーショ
ンが嵐のように押し寄せる充実の2時間だった。

ベースレスでギター2本が左右を固め、ドラム
が中央に鎮座するその演奏は、音の大きさとい
い、決めごとのない長尺プレイといい自由奔放
なもの。しかしながらよく聞き込んでいけば、
ドラマーがあえて冒険をするのでなくステディ
なビートを供給し続けることで、ギターの二人
が自由に動き回るという青写真はあったと思う。

そのギター2本にしてもソロ・フレーズに特化
するのではなく、互いに異なるリフを中心に、
適時に折り重ねていくというもので、神経質な
アンダーグラウンド・ロックとはまた少し違う
逞しさを感じさせた。全編歌なしのインプロだ
ったが、もし曲目があるとしたら、「ブギ奉行
パート1」及び「パート2」になるのだろう。

ほとんど唯一の決めごと(というかエンディン
グの際の合図)といえば、ブルーズ・マナーの
リックだけであり、他はソロ回しにおけるアイ
・コンタクトがあるくらい。何でもハル宮沢は
熱演のあまりギター・アンプのヒューズを飛ば
してしまうほどだったが、かつてのニューヨー
クのロフト・ジャズではきっとこんな光景が毎
晩のように繰り広げられていたんだろうな。

ブギ奉行のステージはこれで2度目とのこと。
それも今回が最後らしい。そんな一期一会的な
ニュアンスも含めて、どれだけハル宮沢という
男が自由な風に吹かれているかが、錆び付いた
ようなロック(もどき)に別れを告げているか
が、少なくともぼくには大いなる共感とともに
理解出来るのだった。

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by obinborn | 2012-12-27 00:20 | rock'n roll | Comments(0)  

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