佐野元春&ザ・コヨーテ・バンドを国際フォーラムにて
ラムで思いっきり堪能した。昨年の冬から続く佐野元春&ザ
・コヨーテ・バンドのウィンター・ツアーも、いよいよこの
日が千秋楽。ぼくにとっては昨年12月14日の神奈川県民ホ
ールで観て以来2度目となる今回のツアーだったが、6年ま
えはまだ拙かったコヨーテ・バンドがメンバーを補強しつつ
次第に音を固め、一丸となって逞しくラウドに荒れ狂う様を
目撃出来ただけでもすごく嬉しい。
このツアーの間にも同じメンバーとともに新作『Zooey』の
レコーディングが進行し、いよいよ来月の発売を待つばかり
となったが、そんなリアルな高揚も同時に感じられた夜だっ
た。この日はその新作のなかからも「世界は慈悲を待ってい
る」「虹をつかむ人」「ラ・ヴィータ・エ・ベラ」「ポーラ
スタア」の4曲がセットリストに加わったのだが、どの曲も
鮮やかな色彩感で瞬時に羽根を広げていく演奏が素晴らしい。
そうした新曲がいわゆる”元春クラシックス”とともに奏でら
れていくことで、聞き手は自然と過去へと連れ戻され、なお
かつ今現在立っている場所へ気持ちを新たにする。今回のツ
アーに限ったことではないが、アーティストにとっても聞き
手にとっても始まりから30年という歳月はそんな感慨をもた
らすのだろう。「彼女」の静謐な響きや、それに続いた「冒
険者たち〜ワイルドハーツ」の大胆にリアレンジされた音像
は、渡辺シュンスケの多彩で情感豊かなキーボードもあって
とくに心に残った。
自分より一世代若いバンドを招集し、まったくゼロの地平か
ら音を作り出す。スタジオ・ミュージシャンの手慣れた演奏
でその場をやりくりするのではなく、”バンドの成長” を佐
野は自らに課し、目撃し、成果を共に喜び合ってきた。これ
はある種の信念とか辛抱強さがなければ出来ないことだ。何
しろ佐野とコヨーテ・バンドは最初、全国に点在するライブ
ハウスをくまなく回ることから始めたのだから。かつてのザ・
ハートランドがそうだったように、ザ・ホーボー・キング・
バンドがそうだったように、21世紀になってからの佐野は
このコヨーテ・バンドとともにある。まるで「いつもバンド
とともに always with a band」とでも言いたげなその心持ち
に彼の音楽観を見ることも出来るはず。
ザクザクと切り込んでいく粗めのギター・ロックと確かな息
遣いを感じさせる歌詞との鮮やかな結晶。ライヴという一期
一会。そのひとつひとつを佐野元春は今なお確実に刻み続け
ている。彼とバンドのそうした営み。それがぼくにはたまら
なく愛おしい。どこまでも愛おしい。
*ツアーの全日程が無事終了しましたので、この日のセットリストを記します。
01 コヨーテのテーマ2013
02 アンジェリーナ
03 スターダスト・キッズ
04ダウンタウン・ボーイ
05星の下 路の上
06夜空の果てまで
07世界は慈悲を待っている
08虹をつかむ人
09ラ・ヴィータ・エ・ベラ
10 ポーラスタア
11彼女
12ワイルドハーツ
13 ハートビート
14コンプリケイション・シェイクダウン
15 99ブルース
16ナポレオンフィッシュと泳ぐ日
17約束の橋
18ロックンロール・ナイト
19サムディ
20ヤングブラッズ
〜〜
E1 ジュジュ
E2 悲しきレイディオ
終演後のBGM:Todd Rundgren「Wailing Wall」
by obinborn | 2013-02-26 07:50 | rock'n roll | Comments(11)
元春が「7年前…」と話した時、あぁそうだった!と、瞬間7年前のステージで一曲だけ演奏したコヨーテバンドを思い出しました。あの時は緊張でカチンコチンな感じがこちらにも伝わってくるくらいだったなぁ、と、なんだか親戚の子どもたちの成長を見るようで…(笑)
新曲も、生まれ変わった古の曲も、素晴らしかったです。
これがコヨーテ・バンドの音だ!という自信に充ち溢れていて、最後までワクワクが止まりませんでした。
新作「Zooey」が本当に楽しみです。
サキソフォーンを伴わない剥き出しのロックという意味でも、コヨーテ・
バンドの一番いいところが今回楽しめました^ー^
fbに押されがち(自分も使っていますが)なblogなだけに嬉しいです。老化現象というより興奮がまだ醒め止まない、ということでは^0^
1 佐野さんがハープを吹いたのは「ハートビート」と「サムディ」の2 曲だったと思います。いずれもHKBとは異なるアレンジが新鮮でした
彼のブルース・ハープが曲に切迫感を与えていて素晴らしかったです
2 ご指摘の通り「99ブルース」ではジャム・バンド的な長尺インプロが
あり、この日の演奏面ではひとつの山だったのでは? シュンスケ氏
のキーボード・ソロに続いたアッキー氏のアグレッシヴなギター・ソ ロ。両方ともスリリングなプレイに圧倒されました。
3 個人的には最初のアンコール「ジュジュ」でのバンド・メンバーの
コーラスが印象的でした。セルフカバー・アルバム『月と専制君主』
でのリアレンジが元になっていますよね。「ナポレオン」の次に「約 束の橋」が歌われた辺りも感動的でした。
3点とも印象的な場面でした。こうして各々が復習(反芻)するのもライヴの後日談的な楽しみですね!
今の佐野さんのモードとバンドの資質が上手く噛み合いダイナミズムを生み出していた夜でしたね。
また機会あれば、一杯呑みつつそんな話もしたいです。
また池袋あたりで一杯やりたいですね。
老化にお気遣いまで・・・(笑)
私はfbはやっていないので、むしろこういったblogはありがたいです。
そして、ほぼ私の記憶が合っていたことが確認できて、よかったです。
ほんとに、こういうやりとりができるのがとても嬉しいです(いつもライブに行ったあとしばらくはこの台詞を元春風に言うのがマイブームになりますww)
ありがとうございました!
何気にCSN&Yが出て来る辺り、ひょっとして同世代ですか?^ー^
佐野さんのMCは常に音楽と聞き手との結びつきを訴えているようで
ぼくもすごく嬉しい。そう、簡素ななかに意味を込めるかのような響
きに溢れているのです!
ひょっとしたら近日中に、またいいお知らせを出来るかもしれません。
私は残念ながら(笑)小尾さんより少し下の1964年生まれです。中学の頃からFMエアチェックが趣味だったので、CSN&Yはリアルタイムではないけれどよく耳にしていました。大好きなグループです。
元春とはそのあとに出会うわけですが、出会った時には元春の音楽的ルーツは全く知らずに、いきなりハートを鷲掴みにされ(笑)、以来ずっと私の中のNo.1です。
今振り返ってみると、なるほど私はあのあたりの音楽が好きだったから元春のことも好きになったんだな、と納得できます。系譜とでも言いましょうか。繋がっているんだなーとつくづく思います。
ところで、近日中のいいお知らせ。
まだワクワクが続くんですね!
とてもとても楽しみです!!
いた時代だったと思います。佐野さんもやはり洋楽を浴びるほど聴いていて、そういう蓄積がちゃんとある方なんですね。そういう背景と合体しながらあの独特の歌や鮮烈な歌詞が聞こえてきたのですから、ぼくもラジオ
で最初に彼の「アンジェリーナ」を聴いたときすごく興奮しました!
あと近日のいいお知らせというのは、そんな大したもんじゃないのですが、ぼくの書いたライブレポートが佐野さんのfacebookに掲載されたこと
です。りーなさんはFBをお使いになっていないみたいですが、結構楽しい
ものですよ。機会があれば検討してみてください。それでは、また!
掲載おめでとうございます!(って、何か変?w)
fbは、以前やっていたのですが、私にはtoo muchで。他のSNSもやっていますし、fbのほうはやめてしまいました。でも、閲覧はしています。
今ふと思いましたが、小尾さんが「佐野さん」と書いていらっしゃるのに、私が「元春」と呼び捨てに…いかんですね(^^;)
今読んでいる小説を読み終わったら、小尾さんの「Rocks」を読みます。
やりとりしていただき嬉しかったです。ありがとうございました。