ロッド・スチュワート、25歳

思えば私の路地裏趣味〜パブ・ロック裏街道まっしぐらは
ロッドの『ガソリン・アレイ』(英vertigo 70年)辺りに
始まったようです。この何ともくすんだジャケットが中味
の音楽(フォークやトラッド)を仄めかしているのですが、
むろんロッドらしいご機嫌なロック&ソウル(エディ・コ
クランやヴァレンティノズ)も仲良く近所付き合いをして
います。

ロッド=ロン・ウッドの名ソングライター・コンビはフェ
イシズ数々の楽曲を彩りましたが、このアルバムの表題曲
「Gasoline Alley」でも下町エレジー風の何とも言えない
味わいを醸し出しています。まるでジグやリールなどブリ
テン諸島の根っこに触れるようなトラッドの語法がここに
はあり、スコットランドに生まれたロッドの家族(ロッド
自身は北ロンドン生まれ)の系譜を見るような思いです。

この時期のロッドはカバー曲でもティム・ハーデンのRea
son To Believeからイアン・マッコールのDirty Old Town
まできらりと光るセンスを発揮していましたが、他にもマ
イケル・ダボの「ハンドバッグと外出着 Handbags and
Gladrags」など泣けるナンバーがとくに多かったのです。
この『ガソリン』アルバムでは、さしずめディランの「Only
A Hobo」がその筆頭格でしょうか。

そういえばフェイシズのデビュー・アルバム『ファースト・             ステップ』(英warner 69年)もディランの「The Wicked Mess               enger」から始まっていましたね。しかもともにディラン
『ウェズリー・ハーディング』のアルバムから。この68
年のディラン・アルバムからはジョー・コッカーが「拝啓地
主様 Dear Landload」を歌ったり、ヘンドリクスが「見張り
塔からずっと All Along The Watchtower」を取り上げたり
と、『ベースメント・テープス』級の浸透力を伺わせていま
したが、その話はまたいずれどこかで。

『ガソリン』ではロッド作の「Lady Day」や「Jo's Lament」
も彼のフォーク・ルーツを物語っていますし、エルトン・ジ
ョンの「Country Comfort」も昔から人気が高い佳曲です。
他にはスタックス・ソウルの「I Don't Wanna Discuss It」
はデラニー&ボニーも『オン・ツアー』で演奏していました。
スモール・フェイシズのかっこいい「My Way Of Giving」
をカバーするという茶目っ気も、まるで”庇を貸して母屋を取
られた”スティーヴ・マリオットにとっては複雑な思いだった
のかもしれませんが、ロッドがある意味ほかのメンバー(レイ
ン、ジョーンズ、マクレガン)を救済したのですから、まあ
そう固いハナシは抜きにしましょうか。このアルバムでの演奏
もほとんど彼らによるものなんです。

それはともかく、この『ガソリン』はロッド・スチュワート
の25歳前後の記録です。ブリテン諸島のルーツへの思いと
アメリカ音楽(R&Bからフォークまで)への憧れ。それらが             混然一体となっている点に青年期特有の閃きを感じてなりま
せん。

街灯を頼りに今宵も路地裏を彷徨ってみようか。ふと、そ
んな思いに駆り立てられるような愛すべき一枚なのです。


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by obinborn | 2013-03-03 18:12 | one day i walk | Comments(0)  

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