愛すべき裏街道ロックその2

日本にもザディコやスワンプ・ポップを演奏する好事家たち
がいるように、遥か彼方の英国にもケイジャンをプレイする
者たちがいた。彼らの名前はエレクトリック・ブルーバーズ。
ぼくが彼らの名前を最初に知ったのは英ACEから出ていた『
Live In London』というパブ・サーキットを紹介したコンピ
レーションだったが、84年には彼らの単独アルバム(たぶ
ん唯一の)もリリースされていた。ニック・ロウのアルバム
に参加していたボビー・ヴァレンティノ(ラテンの人とは同
名異人)が在籍していたバンドといえば、興味を持つ方もい
らっしゃるだろうか。

その84年作に未発表曲やライヴ音源などを大幅に加えたのが
96年の『Back On The Train』だ。元気のいいケイジャン・
ロックの代表曲であり、ダグ・カーショウのお箱でもある「
Alligator Man」やビル・ブロウニングのヒルビリー「Dark
Hollow」をアコーディオンやフィドルを舞わせつつ演奏する
一方で、バッファロー・スプリングフィールドの「Sad Mem
ory」やアーロン・ネヴィルの「Tell Like It Is」をカバーする
など広範なルーツ探訪の気配も伺わせていて、思わず親近感
を抱いてしまう。また「Bluebird Two Step」やら「Allones
Lafayette」などのタイトルにそそられる諸氏も少なくあるま
い。

あのザ・ポーグスあたりのやんちゃな匂いもたっぷりにパブ
・シーンならではの足腰の鍛え方がただ者ではなく、84年作
にはリチャード・トンプソンやスクィーズ出身のグレン・ティ
ブロックがゲストで加わったほどだったが、残念ながらバン
ドは解散してしまった。それでもこういう局地的な連中がロ
ンドンの地下水脈を支え、ローカル・シーンを盛り上げてき
たことはまぎれもない事実。ちょっと妙な言い方かもしれな
いが、リチャード・トンプソンやヴァン・モリソンらの表舞
台の脇道には彼らのようなバンドがごまんといるのである。

まるで趣味趣味音楽への偏愛がパブ・シーンならではの活力
とともに育まれたような、忘れられない愛すべき一枚だ。

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by obinborn | 2013-03-03 19:52 | one day i walk | Comments(0)  

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