そこにある歌、東京ローカル・ホンクのこと。

どこまでも柔らかい歌の数々が歌われていった。その歌たち
は何も声高な主義主張を振りかざすわけではないし、右向け
右のような勢力に加わるわけでもない。むしろ人々の普段の
暮らしを見つめ、天気や商店街の移ろいをスケッチする。そ
れがいかに尊いことだろうか。

24日はそんな音楽を奏でる東京ローカル・ホンクを青山の月
見ル君想フにて。昨年の12月以来彼らのライブが東京で行わ
れるのはこの日が初めてのこと。京都を振り出しに始まった
今回の全国春ツアーでホンクたちはどういう景色を見つめて
いくのだろう。「車のうた」の彼方にどんな足跡を残してい
くのだろう。

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「いつもいっしょ」を聞けばぼくはいっしょにいられなくな
った人たちのことを思う。「拡声器」のような町のざわめき
を耳にすれば、むしろぼくはそれが失われた廃墟の町のこと
を想像する。木下弦二のソングライティングが言い含めるの
は、きっとそういうことだ。それが明晰な発声で歌われ、確
かなコーラスによって水や光を与えられ、豊かな演奏によっ
て逞しく運ばれていく。

弱いもの。形になりにくい感情や心のさざ波。それらに東京
ローカル・ホンクは静かに耳を傾ける。寂れた工場街をスケ
ッチし、食べたラーメンとともに手紙を書き、ときに沸き立
ついわし雲の峰を見上げたりする。

拍手が鳴り止まない。ホンクがこの日最後に歌ったのは、ノ
ンマイクで客席に降りてきての「サンダル鳴らしの名人」だ
った。

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by obinborn | 2013-03-25 01:22 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

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