Songs To Remember〜ニック・ロウのこと

いいなあとしみじみ。ニック・ロウの楽曲を近年のシンガー・
ソングライターたちが歌う『Lowe Country~The Songs Of N
ick Lowe』を繰り返し聞きつつ、そう思う。

ヘイズ・カールやロン・セクスミスのような馴染みの歌い手も
いれば、ぼくの知らないシンガーたちもいるけれど、大向こう
を張ったようなトリビュート作ではなく、素朴に歌を抱きしめ
ている感じが好きだ。結果としてそんな何気のなさがニックの
メロディやちょっと内気な表情を際立たせていく。

パワー・ポップ時代の「Marie Provost」や「Heart Of The C
ity」はここではずっと穏やかに。ニックにとって大いなる転機
となった94年の『インポッシブル・バード』からの「Lover D
on't Go」と「Where's My Everything?」はしっとりと。ブリ
ンズリー・シュウォーツ時代の「Don't Lose Your Grip On L
ove」が選曲されたことも嬉しいし、ニックが本人としては歌
ったことがない「Living Again If It Kills Me」(あっ、デイヴ
・エドモンズ『Twangin'』に収録ね!)を取り上げるという
隠し球もしっかりと用意されている。

ぼくがブリンズレーズに夢中だった二十代の頃には、まさか
将来にこんな素敵なニック・ロウ集が発表されるとは思わな
かった。今こうして「今日は花見が出来なくて残念だな〜」
などと呟きつつ、明日に備える自分の姿を想像出来なかった。
ニック本人だってまさか60歳を超えた今もなお新しい歌に取
り組んだり、温かい拍手を浴びている自分など信じられない
のかもしれない。

まるでエヴァリー・ブラザーズのように、ニックの楽曲たち
はしっかりと新世代へと橋渡しをしている。ニックたちがエ
ヴァリーズを歌ったのはもうだいぶ前のことだけど、ここで
は逆にニックが愛されている。彼の歌を歌ってみたいという
ソングライターたちによって、そっと命を運び込まれている。

そう、冬に耐えた木々がやがて葉の数々を付けていくように。
新しい季節に向けて扉を開いていくように。

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by obinborn | 2013-03-31 18:07 | one day i walk | Comments(0)  

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