故郷との再会〜『ガンボ』に関するメモ

何を今更などと言ってはいけない。まさに古典にしてエヴァ
ー・グルーンな名作がドクター・ジョンの『ガンボ』(72年)
である。ドクター自身による曲ごとの解説がオリジナル盤の
時代から付けられていたが、今回の新・名盤探検隊シリーズ
ではそれに加えて、ニューオーリンズ音楽の研究家・文屋章
氏のライナーがしっかりと添えられた。

その文屋氏も触れているように、アルバム中の「Somebody
Changed The Lock」というドクターの自作曲は、ロニー・
バロンが「My Key Don't Fit」というタイトルで、AFOレー
ベルに吹き込んでもいる。これはドリッツ&ドレイヴィ(
ドクターとロニーのこと)名義でシングル発売された「Talk                   That Talk」とは異なるヴァージョンであり、現在では英ACE
からのコンピレーションCD『Gumbo Stew』(93年)で聞く
ことが出来るので、ぜひ。

それにしても素晴らしいアルバムだ。多くの人がこの作品に
よってニューオーリンズR&Bの魅力に取り憑かれた。何しろ
ここに収められた多くの曲が50〜60年代に彼の地を彩った
代表曲なのだから。そのなかにはディキシー・カップスの「
Iko Iko」(シュガーボーイ・クロフォードがオリジナル)も
あれば、プロフェッサー・ロングヘアの「Tipitina」もある。
終盤にヒューイ・スミスの曲を束ねた「High Blood Plessu
re」〜「Don't You Just Know It」〜「Well I'll Be John Bro
wn」の3曲が続き、アルバム最後がまたしてもヒューイの
「Little Liza Jane」でビシッと締まる。そういう構成もぼく
は好きだったし、転がるピアノを得意とするドクターが「L
et The Good Times Roll」ではエレクトリック・ギターを
弾き、素朴なリード・プレイをしていることも好きだった。
そこにこの曲の作者であるアール・キングの姿が重なってい
くのだから、もうたまらない。

かくの如く、この『ガンボ』アルバムに思いを寄せる人たち
は後を絶たない。かつての細野晴臣や久保田麻琴がそうだっ
たし、ボ・ガンボスの面々がそれに続いた。こうした機会に
また新たに今の若い人たちへと受け継がれていければ、マッ
ク・レベナック本人も本望だろう。

なお最後にこの『ガンボ』がニューオーリンズで録音された
わけではないことを書き留めておきたい。ドクターはカリフォ                  ルニア州のサウンド・シティ・スタジオで本作を吹き込んだ。
彼が故郷を追われてからは、幾つかの歳月が流れていた。


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by obinborn | 2013-04-07 23:10 | one day i walk | Comments(4)  

Commented by 酩酊爺 at 2013-04-07 23:47 x
このアルバムは、オイラのバイブルの1枚です。
Commented by obinborn at 2013-04-07 23:58
ホント、そうですよね!
まさに聖典です。
Commented by noah at 2013-04-09 00:06 x
小尾さんこんばんわ

文章でのガイドブックは文屋章さんの本
音はやはりこの「ガンボ」から教わったことが多いです。
ここから広がりました。

僕の中のニューオーリンズの素です。
Commented by obinborn at 2013-04-09 06:19
遥か昔、青山のパイドパイパー・ハウスで『ガンボ』を買いまし
た。ぼくもそれからどっぷりと(笑)

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