安くて美味い食堂にようこそ!

今はもう絶版になってしまっているが、ウィル・バーチが
書き記した『パブ・ロック革命』(シンコーミュージック)
にはアンダーグラウンド・ロックの興味深い記述が一杯だ
った。その本のなかにも若き日のブリンズリー・シュウォ
ーツがエッグス・オーヴァー・イージーと交流していたエ
ピソードが出てくる。

このエッグスは元々アメリカ西海岸を拠点としていたバン
ドだったが、いつまで経っても鳴かず飛ばず。失意のもと
に渡英してパブ・サーキットへと踏み出していく。彼らは
北ロンドンのケンティシュ・タウンにあるタリー・ホーと
いうパブのハウス・バンドとなり、毎晩の如く酔い客を相
手に演奏した。元アニマルズでジミ・ヘンドリクスのマネ
ジャーとしても活躍したチャズ・チャンドラーの口利きも
あったようで、アニマルズ出身のズート・マネーのビッグ
・ロール・バンドがエッグスの「アーカンソー」を演奏し
ているのはそうした繋がり故だろう。

それはともかくエッグスやクローヴァーといった米西海岸
のグループが相次いでロンドンのシーンに関わり、彼の地
のブリンズリーズと交流しながら互いに刺激し合っていっ
たのは興味深い事実だ。とくにエッグスの場合、オーステ
ィン・デ・ローンのキーボードがブリンズリーズのボブ・
アンドリュースに影響を与えた点は、両者の音楽を聞いて
頂ければ納得出来るだろうし、互いの共通分母としてザ・
バンドへの憧れがあったことも想像に難くない。

72年にA&Mから発売された『グッドン・チープ』にはエッ
グスの魅力がたっぷり詰まっている。Good 'N ' Cheapと
は実際に用いられる単語としては目玉焼きのことだろうが、
”安くて美味い”というアルバム・タイトルにバブ・ロック
の矜持を感じてもいいだろう。この時期ポリドールに移籍
してギター・インストからスワンプ・ロックにシフトして
いたリンク・レイがエッグスとともにプロデュースを担当
したことも忘れられない。エンジニア欄にはフライング・
ブリトー・ブラザーズでもお馴染みのヘンリー・ルーイの
名前もある。

のちにオースティン・デ・ローンはコマンダー・コディ&
ヒズ・ロスト・プラネット・エアメン出身のビル・カーチ
ェンらとムーンライターズを結成。彼らのセカンド・アル
バム『Rush Hour』をニック・ロウがプロデュースしてい
るのは、そうしたパブ・サーキット時代からの信頼関係が
あってのことだった。

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by obinborn | 2013-04-22 23:05 | one day i walk | Comments(0)  

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