ジョン・クリアリー・トリオを観た

 押しては引いていくグルーヴの波にどこまでも酔い
しれた一夜だった。ジョン・クリアリー・トリオのそ
んな素晴らしいライヴを20日は渋谷クアトロにて。

 CDではどこかこじんまりした印象もあったが、さ
すが現在のニューオーリンズR&B/ファンクを代表す
る3人だけあって曲の進捗やかけ引きは変幻自在。例
えばレイ・チャールズの「メリー・アン」ではレイ版
に顕著なラテン・ビートとシャッフルを交互に混ぜる
アレンジメントが光っていたし、クリス・ケナーの「
サムシング・ユー・ガット」やキング・フロイドの「
グルーヴ・ミー」あるいはプロフェッサー・ロングヘ
アの「マルディ・グラ・イン・ニューオーリンズ」と
「ティピティーナ」などではニューオーリンズの土壌
をくっきりと見渡していく。またバラードではアール
・キングの「ゾーズ・ゾーズ・ロンリー・ナイツ」や
ベン・E・キングの「ヤング・ボーイ・ブルーズ」を
奏でるなど、硬軟の対比も鮮やか。

 そこでピアノを弾くジョン・クリアリーがイギリス
人であることも面白い。どこかロバート・パーマーの
ブルー・アイド・ソウルを思わせる「ホエン・U・ゲ
ット・バック」ではアーバン・ソウル的な艶やかさを
湛えたり、ピアノのソロで突如サルサのシンコペーシ
ョンを押し出したりと、自らの世界を押し広げていこ
うとする意欲もたっぷり。ここら辺のミクスチャーに
関しては今に生きる人ならではの奔放さを見せる。私
がクリアリーの存在を初めて知ったのはタージ・マハ
ールと彼がコラボレイトした曲によってだったけれど
も、計らずともタージと同じようなワールドワイドな
視点も感じた。

 圧巻だったのはテレンス・ヒギンスのドラムズだ。
ダーティ・ダズン・ブラス・バンドに途中から入った
この猛者はセカンドラインは勿論のこと、ファットバ
ックなアフター打ちにもしなやかに対応する。カウベ
ルを積極的に援用したフィル・インや、ゲストで参加
したパーカッション奏者やクリアリーがピアノを離れ
てヒギンズと丁々発止する場面などは、きっと会場の
誰もが興奮したことだろう。山岸潤史とのセッション
でも知られるコーネル・ウィリアムズのべースがまた
何ともいい。基本はファンク・ベースでありながらも
描き出す輪郭はどこまでも柔らかい。そんなニュアン
スがあった。本編の最後を飾ったミーターズの「ヘイ
・ポッキー・ウェイ」ではもう興奮の坩堝だ。

 トリオならではの程よい隙間があり、それ故に各自
の演奏が際立つ。そんな妙味が芳香とともに伝わって
きた何とも得難い夜であった。

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by obinborn | 2013-05-21 04:04 | one day i walk | Comments(2)  

Commented by NOAH at 2013-05-22 13:05 x
obiさん、こんにちわ

私は残念ながら参加できなかったのですが
文章を読ませていただきいかに会場にニューオールリンズが溢れていたのか感じました。

さらにのめり込みたくなりますね。
またCDを探してみます。
Commented by obinborn at 2013-05-23 00:57
Noahさん、こんばんは。
ジョン・クリアリー・トリオは最高でした!ギターレスのトリオという編成ゆえにスリリングでごまかしが一切効かない展開があり、その
丁々発止をしっかり受け止めたファンの方々は最高に幸せだったと思います! またの機会にぜひご覧くださいね!

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