ブロンクスの路上シンフォニー
ことある。それは忘れもしないローラ・ニーロの来日公演時
だった。彼女にとっては72年以来の二度めとなる94年の再来
日。渋谷のオン・エア・ウェストで行われた東京での3日間
公演のうち、ぼくは2月20日のライブを観ていた。
久し振りにその時にサインを貰った『Gonna Take A Miracl
e』を引っぱり出してみると、当時のチケットとフライヤーが
封入されていて思わず懐かしくなってしまった。あれから早
くも19年もの歳月が流れ、卵巣癌を煩ったローラはいつしか
亡くなり、ぼくはいつの間にか彼女の生きた時間よりも多く
の日々をやり過ごしている。
この『Gonna Take A Miracle』はローラが多感な時期に親 しんだドゥ・ワップやR&Bの名曲集だ。オリジナルズ、マー サー&ザ・ヴァンデラス、スモーキー・ロビンソン&ミラク ルズのモータウン・ナンバーもあれば、べン・E・キングの 「スパニッシュ・ハーレム」もある。わけてもアルバム表題 曲を歌ったロイヤレッツのレコードは探し出すのが本当に大 変だったなあ。
カバー曲を通して原曲を辿っていく楽しさは何もローラに限
ったことではないけれども、このアルバムを聞いているとニ
ューヨークのブロンクスに生まれ、路上でストリート・コー
ナー・シンフォニーを仲間たちと分け合っていた彼女の若い
頃のことがとてもよく解るのさ。
by obinborn | 2013-05-27 15:01 | one day i walk | Comments(0)