まるで昨日のように〜ロンサム・ストリングス

 ロンサム・ストリングスの10年以上に及ぶ
歴史を一晩に凝縮したような素晴らしいライ
ヴを14日は青山のCAYにて。この一年間のロ
ンサムたちは遥か彼方に逝ってしまった人へ
と松明を灯しつつやりくりした日々が長く続
いただろうが、スーマー、掘込高樹、中村まり
と縁ある三人のゲストを招きながら、自分たち
が丁寧に弦楽器で紡いできた音楽地図を今日も
また思いっ切り広げてくれた。

 「南の噂」から始まり途中で「Snow Quee
n~Deja Vu」を挟み、いつしか「旅行」へと
繋ぐ。そして最後には「Candela」を。そうし
た静謐なインストゥルメンタル曲を起承転結の
ように奏でながら、それぞれのゲストを呼んで
いく。およそそんな3時間半・全25曲の長丁
場。そこにスーマーが朴訥としながらも苦みの
ある「道路」を歌い、キリンジを受け継いだ高
樹が澄み渡る声でランディ・ニューマンの懐か
しい「Cowboy」を響かせる。中村に至っては
ロンサムたちと優れたコラボレイトを手掛けて
きただけあって、まるで家族のように「That
Lucky Old Sun」や「Restless Farewell」を
手元でじわりと温め直していく。

 振り返ってみればロンサム・ストリングスは
ぼくにとって不思議なグループだった。バンジ
ョーやマンドリンやペダル・スティールといっ
たブルーグラス~カントリー音楽で多用される
看板的な弦楽器をメインとしながらも、その音
楽はむしろ日本的なワビ・サビを感じさせたり、
メンバーそれぞれが培ってきた音楽体験を滲ま
せるものだったのだから。ミスター・クリスマ
スからミュート・ビートまでに溯れる腕達者た
ちの音楽遍歴に思いを寄せれば、不毛と思われ
がちだった80年代の日本の地下シーンの豊かさ
に肩入れしてしまいたくなるくらい。だからそ
こにイアン・デューリーのロンドン・ファンク
が混ざろうとも、グレッグ・オールマンのやる
せないブルーズが混ざろうとも、ぼくは驚かな
い。

 音楽を介してこんなにも多くの出会いがあり、
それがやがて豊かな季節を迎えていく。晴れた
日に思いっきり感謝を捧げ、たとえ雨が続く日
々でさえ、そこに静かな音を聞き取る。ロンサ
ムのフロントマンである桜井芳樹はそれが出来
る人だ。田村玄一がそれをスライド・バーへと
託していく。千ケ崎学が控えめながらもしっか
りと寡黙に受け止めていく。原さとしが陽気な
響きのなかに悲しみを伝えてゆく。さながらそ
うした音楽が宿っていた夜だった。松永孝義の
急逝からもうすぐ一年が経とうとしている。

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by obinborn | 2013-06-15 02:28 | one day i walk | Comments(0)  

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