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フリー・フォームの奔流

どこまでも続く轟音ロックに満たされた夜だった。その音は
理屈ではなく五臓六腑に訴えてくるものであり、初期衝動と
老獪さとがきちんと結び目を作る。そんなブギ奉行のライヴ
を11日は荻窪のルースター・ノースサイドにて。

ブギ奉行はベースレスのパワー・トリオ(ハル宮沢g 秋山徹
次g 植村昌弘ds)。決めごとが一切ない即興の長尺演奏が身
上であり、この日も一曲をおよそ40分に集中させた。場面転
換の部分でフッカー「ブギ・チレン」風のブルーズ・リック
が合図代わりに交わされる他は奔放なフリー・フォームの展
開なのだが、よく聞いていけば粘っこく骨太なテレキャスタ
ーで迫る宮沢と、繊細なフレーズをまぶしていく秋山のレス
ポールとの対比は彩りが鮮やか。そこに極めてテクニカルで
アヴァンな匂いをプンプンと放ちまくる植村のオカズ満載の
ドラミングが加わるのだから、その丁々発止はまるで一番良
い時の牛心隊長&マジック・バンドのようだ。

奇異であることに自己陶酔しているわけではない。彼らの音
楽には各パートごとの逞しい連携があるし、ときに笑みを浮
かべたくなるようなユーモアの感覚もある。対バンの両手に
鎌に関しては弱冠冗長な部分(長過ぎるMCや馴れ合い)も
感じてしまったが、両者が合体したパート3のセッションで
は本領を発揮して、そうした不満を一切帳消しにしていった。

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by obinborn | 2013-07-12 17:12 | rock'n roll | Comments(0)  

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