カヌーの新しい航海

パイレーツ・カヌーの3作め『Sailing Home』(2012年)
を本日やっと聞いた。2枚続いたミニ・アルバムではバン
ド編成だったが、新作は思うことあってかフロントの3人
の歌と弦楽器のみで臨んだレコーディングだ。それゆえに
音数は少なく、アコースティック楽器や女声コーラスの響
きが際立っている。リズム・セクションを加えた膨らみの
ある演奏もいいけれど、今回のこうした試みでは曲の表情
がより静謐になる。

ギター、バンジョー、マンドリン、フィドルによるサウン
ドは楽器編成から見ればブルーグラスを連想させるが、そ
の種の音楽にありがちなこれみよがえしの名人芸には溺れ
ていない。どうしてもプレイヤーのための器楽になりがち
な世界で、彼女たちはその罠に陥らず歌をとても大事にし
ていると思う。ぼくがカヌーに共感するのはそういう部分
だ。どれだけ早く弾けるかとか、一番上手く「Foggy Mou
ntain Breakdown」を演奏したいとか、そういう価値観に
一切捕われていない。発想が自由だし、自分たちを縛るも
のにはそっと背を向ける人たちなのではないだろうか。

珍しく日本語を使った曲でも英語詞によるオリジナル曲で
も、その音楽はどこまでも日本的な情緒やワビ・サビを感
じさせる。大袈裟ではない歌にかえって親しみを覚える。
それは多分カヌーが自分たちをしっかりと定点観測してい
るからだと思う。内気な冒険者たちの新しい航海にぼくも
杯を重ねたくなった。

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by obinborn | 2013-07-16 02:14 | one day i walk | Comments(0)  

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