一年ぶりにホンクとカヌーのジョイントが実現!

二週間ぶりのホンクと一年ぶりのカヌー。そんな二組
のジョイント・ライヴを14日は高円寺のJIROKICHIで
思いっきり楽しんだ。東京ローカル・ホンクも京都か
らやってきたパイレーツ・カヌーも、音楽に対する取
り組み方がとても瑞々しい。日本語のきれいな響きを
ずっと育んできたホンクはこの道20年以上のベテラン
であり、今や誰もが賞賛を惜しまないリスペクタブル
な存在だが、手垢に塗れたような部分がまったくない。
彼らの毎日毎晩の演奏がぼくにはまるで生まれたばか
りの歌のように聞こえる。対するカヌーはここ数年の
成長に驚くばかり!今回はちょうど新作『Three』を
携えてのライヴだったが、その前にアメリカ・ツアー
を体験したことも大きな糧となったに違いない。

この日はまずホンクがアカペラで新曲「夏みかん」を
披露してからカヌーを迎えるという昨年7月とほぼ同
じ構成。カヌーの場合ルーツ音楽が大好き!みたいな
な紹介のされ方をよくされるけれども、世襲制という
かどっかに偉大なお手本があってそれの完コピを目指
すというような音楽のあり方とは無縁だ。むろんパー
ツとしてブルーグラスなりアイリッシュ・チューンの
語法を取り入れた部分も大きいが、ハント鈴加や河野
沙羅のソングライティングには(いつも言っているこ
とだけど)不思議と日本的な情感が色濃く漂っている
点が面白い。そうしたワビ・サビのある曲を、リゾネ
ーターやマンドリンやフィドルといった弦楽器で彩り、
リズム・セクションも起伏ある構成(ときに変拍子)
と丁寧に丁寧に向き合っていく。もしカヌーたちが誰
かよりも上手く楽器を弾けるとか、お師匠さんのお墨
み付きとか、そういうことに価値を置くような器楽自
慢のバンドだったら、ぼくはけっして彼女たちや彼ら
に惹かれることはなかっただろう。

ホンクの視界の広げ方も美しい。うずまき時代の「ヒ
コーキの歌」に始まり、「泥男」「お手紙」「目と手」
「夜明けまえ」そして最後には「おいでおいで」と、
それぞれに独立したひとつひとつの歌がまるでソング・
サイクルのように連鎖していく様は、アルバムのシー
クエンスとはまた別の逞しい流れを生み出していく。
それらの歌詞にしても一見平易な言葉とその連なりが
どれだけ豊かなものなのかをそっと伝えるかのよう。
親しみやすく明るい「いつもいっしょ」に伴う影のこ
と。「ヒコーキ」で描かれる空飛ぶ異国の人のこと。
木下弦二のソングライティングはかくのように重層的
だ。

カヌーと合体しての終盤のセッション・タイムでは、
スティーヴィ・ワンダーの「マイ・シェリー・アモー
ル」とエリック・クラプトンの「メインライン・フロ
リダ」が選ばれ、お客さんたちの盛り上がりも最高潮
に。この時ばかりはホンクもカヌーも洋楽大好きのア
マチュア時代に戻るかのよう。昨年のアンコールはロ
ーウェル・ジョージとヴァン・モリソンだったよな〜
なんてふと思い出してしまったぞよ。

そんな訳でぼくは最寄りの私鉄沿線駅に降り、深夜営
業のスーパーマーケットで今晩最後のビールを買った。
そう、いいライヴの帰り道がいつもそうであるように。

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*写真はパイレーツ・カヌーの皆さん
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by obinborn | 2013-09-15 02:27 | 東京ローカル・ホンク | Comments(0)  

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