パイレーツ・カヌーの新作『Three』に寄せて

パイレーツ・カヌーの3作め『Three』が発売された。その前
には女トリオで初めてレコーディングに臨んだ『Sailing Hom
e』というややサブサイドな作品もリリースしているが、今回
の新作が6人バンドとしては文字通りの”スリー”。期待に胸が
高ぶるのは無理もない。しかもアルバムは欅夏那子が珍しくも
ソングライティングに取り組んだインスト曲「Fake」で幕を開
けるという大胆なアプローチを示していく。哀感に満ちた欅の
フィドルと変拍子のミックスに、ぼくのようなオジサンはつい
フェアポート・コンベンションの演奏を思い起こしてしまうが、
次第に音が重なりドブロ・ギターやマンドリンが熱を帯びてい
く様は、吉岡孝のアフロ・ビートとも相俟ってスリリングだ。

レゲエ・リディムを配した「Dream Song」とブルーズ・フォ
ームの「The Ungrateful Blues」がそれに続き、従来のカヌー
とは異なる冒険を試みる一方で、「The Witch Of The Hills」
と「Crazy Krissie」ではこれまでの通りの彼女彼らの持ち味、
つまりルーラルなカントリー風味や爽やかなハーモニーが全開
になるといった塩梅である。9月14日の高円寺JIROKICHIでも
この新作からの曲を幾つか演奏してくれたが、スタジオ・アル
バムも従来同様に一発録音ということで、ライヴの場との落差            はまったくと言っていいくらい感じられない。

町に出掛けても、たまに田舎に引き籠っても、いたるところか
ら音楽は聞こえてくる。でもその殆どが騒音にしか聞こえない
のは何故だろう? 単純にぼくが歳を喰ったとか、世の流行に
興味がないといったことを差し引いたとしても、時代からこぼ
れ落ちてしまったような寂しさを感じる。ぼくが普段見ている
景色やウォーキングの際に接する空気。それらと触れ合うよう
な音楽をもっと見つけたい。パイレーツ・カヌーはそんな願い
を叶えてくれる得難いグループだ。もし明日晴れたのならカヌ
ーの音楽とともに深呼吸をしようと思う。それも思いっきり背
筋を伸ばして。

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by obinborn | 2013-09-15 13:35 | one day i walk | Comments(0)  

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