When The Eagle Flies

バンドにとって最後のアルバムが自分にとって出会いの一枚だ
ったという体験はどの世代でもあるだろうが、トラフィックの
74年作『When The Eagle Flies』は、私にとってまさにそんな
作品だった。後期の彼らを特徴付けた英米混成の大所帯チーム
でのアプローチに句読点を打ち、シンプルなカルテットに戻っ
た点はデビュー当初を思わせる。すっきりしたバンド・サウン
ドは新加入したロスコー・ジーの安定したベースの賜物だろう。
リーバップが脱退してしまったため(但しゲストとして一部に
参加)アフロ色は後退してしまったが、その代わりにメロトロ
ンやシンセサイザーの導入などで新境地を見せている。

長尺曲のなかでゆったり漂うようにメロディや各自のソロ・ パー            トを泳がせていくところは従来の彼らそのままなのだが、それ
でももう少しすっきりと凝縮されたサウンドスケープを聞かせ
ている点が新鮮だ。かつての「Feelin' Allright」や「Every Mo
ther's Son」など、まるでザ・バンドを思わせるアーシーな芳
香もたっぷり。あのサイケデリックな「Dear Mr.Fantasy」や
「Coloured Rain」を携えながら出発したトラフィックが、紆
余曲折の果てここまで辿り着いたかと思うと、後追い世代なが
らも思わずじ〜んと感慨が込み上げてきてしまう。

考えてみればロックという音楽はこのように本来は自由闊達な
ものだったはず。とくに英国のミュージシャンにはブライアン
・ジョーンズのようにシタールを使用したり、モロッコの部族
音楽に魅せられたり、植民地時代の贖罪が影のようにまとって
いることも顕著だ。そのような混濁がまたトラフィックの歩み
にもはっきりと映し出されている。すべてをやり終えたかのよ
うな達成感と解散間際の何とも言えない諦観。それらが交差す
る『When The Eagle Flies』を聞いていると、天才少年と謳わ
れながらも驕らず、自分の歩調で着実に歩みを進めてきたステ
ィーヴ・ウィンウッドのミュージシャンシップを思わずにはい
られない。そんな彼の道筋が最新作『Nine Lives』まで連なっ
ていることを知る時、私はいつも温かな気持ちになる。

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by obinborn | 2013-10-01 19:33 | one day i walk | Comments(0)  

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