77年6月のウィンウッド

74年の11月にトラフィックが解散してからのスティーヴ・ウ
ィンウッドはツトム・ヤマシタのGOプロジェクトに加わる一
方で、ファニア・オールスターズのロンドン公演にゲスト参加
するなど文字通り”異種交配”を推し進めていったが、念願だっ
たファースト・ソロ作を77年の6月遂にリリースする。多くの
曲をジム・キャパルディと共作する他、リーボップがコンガを
叩くトラックもあるといった具合に、トラフィック時代の名残
りを留めつつも、新たにウィリー・ウィークス=アンディ・ニ
ューマークによる米国のリズム隊を積極的に導入するなど意欲
に満ち溢れた作品となった。

青山さんがご指摘なさったようにファンク系の音楽家たちを援
用したとしても熱狂的にならず、どこかクールな感触を残す点
はまさにウィンウッドの独壇場。他にもベースにはホワイト・
ソウル・バンド、ココモのアラン・スペナー(EX:グリース・バ
ンド)を、ギターにはウェイラーズのジュニア・マーヴィンを
部分起用しているが、主役はあくまでウィンウッドの静かに漂
っていくようなヴォーカルだ。ブラック音楽から学んだ彼の歌
唱法がありがちなシャウトやスクリームへと向かうのではなく、
静謐さを保っているところが何とも美しい。ハイトーンによる
遥か彼方を見渡すような透き通ったそのヴォイシングは、まる
で朝露のよう。

陶芸家の如く黙々とひたすら創作に打ち込むウィンウッドの姿            に求道者のそれを重ね合わせる方も少なくないだろう。細やか            な色合いの調合から一定のなだらかな曲線(グルーヴ)を保つ            ための修練まで、この人は丁寧に丁寧にその局面局面をじっく
り磨き上げてゆく。そんな作業は大量生産時代の“安く効率良く
稼げ!”の掛け声に似合うはずもない。それでもなお、私はこの
アルバムを聞く時、人力演奏の尊さや、異なるバックグラウン
ドを持つ音楽家同志が放つ瞬時の閃きのことを思う。言葉にな
らない音楽のこと、形になりにくい価値のことを強く思う。


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by obinborn | 2013-10-03 20:00 | one day i walk | Comments(0)  

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