ライ・クーダーの最新ライヴ作

ライ・クーダーの最新ライヴ作が届いた。そ
れもテックス・メックス編成による演奏とい
えばあの名作『Show Time』(77年)のこ
とを思い起こさずにはいられない。実際メン
バーにはフラーコ・ヒメネスやテリー・エヴ
ァンスといった『Show Time』に参加して
いた人達が名を連ねていたり、会場も同じく
サンフランシスコのグレイト・アメリカン・
ミュージック・ホールとくれば、ちょっとし
た感慨にも襲われてしまうが、それにも増し
て今なお続くフラーコとの友情や、自身のコ
ンボに加えて分厚いホーンズと打楽器を聞か
せるLa Banda Juvenil楽団との共演が今回の
胆となるものだろう。

選曲にしても「Do Re Mi」「School Is Ou
t」「The Dark End Of The Street」「Vol
ver, Volver」と4曲までが『Show Time』
と重複するのだが、演奏のニュアンスはコン
フントからオルケスタになったぶんかなり違
うし、何よりライ自身の声とギターも変わっ
た。一段と低くなったヴォーカルには通り過
ぎた歳月を覚えるものの、ギターに関しては
より練られた閃きを感じる。例えば「The D
ark End~」の場合、以前はソロ・フレーズ
をスライドで長く弾いていたのに対し、今は
指弾きできらりと光るソロを短く加えるとい
った具合に。それを成長と呼びたい。柔らか
い音色にも年輪が微笑んでいるかのよう。

やはり胸が熱くなるのは一貫してテックス・
メックス・スタイルにこだわっていることだ
ろう。ロスアンゼルスに生まれたライにとっ
てメキシコ音楽とはイースト・L.Aなどすぐ
隣で鳴っていた音楽であり、ウディ・ガスリ
ーのフォーク・ミュージックやレヴァランド
・ゲイリー・ディヴィスのブルーズと同じく
らい、いやそれ以上に自らの出自に関わるも
のだったに違いない。平均的なアメリカ人で
ありつつも、そうしたマイノリティの音楽や
カルチャーに敬意を表すること。その音楽を
実践してみること。それがライの生命線であ
り、弱い者たちへと向けられた眼差しであっ
たはず。そうした方向性が近年はキューバ音
楽へのアプローチへとなって実を結んできた
が、そうした長い旅を経てからはここ数作で
テックス・メックスへと回帰し、連作や組曲
といったスタイルでチカーノの栄枯盛衰を寓
話のなかに甦らせてきた。それだけにこのラ
イヴ作は親和性に富むものになったと思う。

「El Corrido De Jesse James」や「Volver,
Volver」では、La Banda Juvenil楽団がとく
に熱のこもった演奏を聞かせる。それらがラ
イの歌やギターと折り重なる時、私は文化の
折衷や想像力のことに思いを寄せたりする。
録音は2011年の8月31日と9月1日。グレ
イト・アメリカン・ミュージック・ホールか
らは歓喜の声が聞こえてくる。

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by obinborn | 2013-11-08 23:22 | one day i walk | Comments(0)  

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