素晴らしいロス・ロボスの新作

ロス・ロボスの新作が素晴らしい。結成40周年
を記念したライヴ盤で、昨年の12月にニューヨ
ークのシティ・ウィナリーで収録されたものだ
から最近の彼らを知るには最適の一枚に違いな
い。とくに謳われてはいないものの、コンラッ
ド・ロザーノのエレキ・ベース以外は、セサス
・ロサスもデヴィッド・ヒダルゴも、そしてす
っかりフロントに立つ姿が板に着いてきたルイ
ス・ペレスもアコースティック・ギターを弾い
ているのが今回の特徴だろう。スティーヴ・バ
ーリンの分厚いバリトン・サックスやバグス・
コンザレスの情熱的なドラムスのお陰で普段通
りの力強い演奏に変わりはないのだが、今回は
生楽器との対比がおなじみの曲たちに新味をも
たらせているようだ。

とくに「Tears Of God」と「La Venganza De
Los Pelados」が続く辺りが前半の山場で、ザ・
バンドのような芳香を湛えた前者といい、クン
ビアならではのダークな世界が蠢く後者といい、
じっくり噛み締めるようなニュアンスが全面に
出ている。ときにヘンドリクスやトラフィック
の曲を混ぜ合わせつつ飛びまくる彼らのエレク
トリック・セットも圧巻だが、一歩引いたよう
な今回の演奏にはさざ波が少しずつ押し寄せる
ようなきめ細かい表情が伺える。初期の陽気な
テックス・メックスを思い起こさせる「Gotta
Let You Know」や、それとは対照的に粘つく
ような展開を見せる「Maria Christina」での
ロサスのドスの効いたヴォーカルには生気が漲
っているし、ペレスのクアトロが揺らめく「M
alaque」での弦楽器が重なり合う様にも、じわ
~っと発酵してくるような味わいがある。

振り返ってみれば、ロス・ロボスはイーストL.
Aに住むチカーノの第二世代とでも言うべきロ
ック・ジェネレーション。ライ・クーダーの『
チキン・スキン・ミュージック』を聞いてメキ
シコ音楽に目覚めたとメンバーが語る(北中正
和氏の『楽園の音楽』を参照のこと)通り、60
年代のロックを浴びるように聞きながら育って
きた出自を持つ。ロボスたちがフリートウッド・
マックのブリティッシュ・ブルーズに夢中にな
ったり、フェアポート・コンベンションのよう
なロックからの伝承音楽へのアプローチに親近
感を覚えるのはごく自然な行為だったはず。そ
んな彼らがやがてテックス・メックスやコロム
ビア地方のクンビア音楽に挑んでいくのだから
歴史のネジレとは面白いものだなと思う。

演奏面で最も尖っていたのは『コロサル・ヘッ
ド』の頃だが、ラテン・プレイボーイズでの実
験やロス・スーパー・セヴンでのルーツ探訪な
ど、メンバーの別動隊とでも言うべき活動を経
ながら、近年のロボスはゆるやかに歌モノに回
帰しているような印象を受ける。ここでの成熟
した演奏を耳にしていると、そんな風に思えて
ならない。

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by obinborn | 2013-11-14 15:50 | one day i walk | Comments(0)  

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